2008-08-31

「インディア」(59年) このエントリーを含むはてなブックマーク 

ブログ「だめ日記」から
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この前、銀座メゾンエルメスの「ル・ステュディオ」で、ロベルト・ロッセリーニ監督の「インディア(India: Matri Bhumi)」を観た。Yちゃんお手紙ありがとう。

4つの物語がつながって、“ロッセリーニのインド”を描き出す。象使いの若い男は、村にやってきた人形使い一座の少女に恋をする。象が木を倒し、器用に丸太を運んでみせるので、おおーとなってぐいと引き込まれる。象使いはイスラム風の帽子をかぶるので、父は少し不機嫌。というような文化的なおもしろさが随所にあふれる。

次に登場する青年は、大規模ダム建設に関わったことを誇りに思い、一方でやるせない無常を感じてもいる。すぐまた次の現場に引っ越さなくてはならないからだ。ヒラクド・ダムは広大で、片岸を見通すこともできない。「他人にはダムを造ったというだけのこと。本質は分からない」とつぶやいて、彼は沐浴をする。引っ越さなくてはならないので奥さんがぎゃーぎゃー文句を言っているところも、真に迫る。

森での瞑想が日課のおじいさんは、ちょくちょく虎に出会う。それはいつも同じ虎で、何をするわけでもないけどやっぱり怖いので彼はいつも逃げる。そんなある日、森に測量隊が入り、瞬く間に大地のバランスが崩れて…。おじいさんちでは、お茶をティーカップから受け皿に流し、冷ましてから飲んでいる。これ昔トリビアでやってたなー。

最後は猿の話。鋼のような空のもと、乾いた大地を歩いていた男が力尽きて倒れる。その肩に乗っていた猿は、鎖を何とかして、逃げ出そうとする。じわじわと迫るハゲタカ。マジで怖いハゲタカ。

59年のインド。建築群が素晴らしくて、すっかり行きたくなる。4篇の男たちはすべて同じ人間と言っても良い。massの中の個、個からのmass。中国はでかいけど、インドもでっかいんだなあ。いやあおもしろかった。

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mari

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mari

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