2014-02-12

語り継ぐもの 踊り継ぐもの このエントリーを含むはてなブックマーク 

荒馬座準座員30周年記念作品「明日への詩(うた)」。よかった。週2回、夜の稽古に集まるメンバーの職業は様々。昼はみんなバラバラに仕事をしながらも、民族芸能に関わりたい気持ちは共通。一つの舞台をつくりあげる。

準座員が歌詞をつけた「八木節」は、♪年も仕事も様々だけど 民俗芸能だい好きで♪仕事終わって飛び乗る電車 週2回の稽古(へ向かう?)♪といった、彼ら自身と荒馬座について歌ったもの。民族芸能にかける情熱が伝わる。(歌詞は私の記憶によるものなので、間違いがあるかも)

そして「2001水俣ハイヤ節」。♪水俣エベスさん 教えんな 今日の日和は どげんじゃろうか? 大漁のぼりの あがっじゃろか?♪ 陽気なリズムに魚も寄ってきそうな漁師の舞。

荒馬座と一緒にハイヤ節をつくった杉本栄子さんの歌と踊りに込められた思いを知るために、昨年、水俣を訪れた準座員。偶然か必然か、あるいは彼らが呼び寄せたのか、不知火海を見るようにして並ぶお地蔵さんたちの前でハイヤ節を踊ることになった。

誰もいない場所だったともいえるし、お地蔵さんと不知火海が観客だったともいえるような状況で「2001水俣ハイヤ節」を踊った彼ら。

水俣で吸い込んだもの全てを東京に持ち帰って、11日の公演にむけて稽古を続けてきた。準座員の日常を歌った「八木節」が、彼らの偽りのないリアルな詩であるように、今日の「2001水俣ハイヤ節」はリアルだった。

「2001水俣ハイヤ節」を踊ることとは何だろう。栄子さんは、「楽しかところに人もモノも寄ってくる。患者も同じぞ」といったという。明るいハイヤ節に、日焼けした漁師の笑顔が浮かぶ。♪よか山 よか水 よかお米 ♪よか水 よか海 よか魚よ♪ よか海 よか山 よかお人♪

これからずっと先の将来、水俣病を語る人がいなくなったとしても、「2001水俣ハイヤ節」が残っていれば、そこからひも解ける歴史なり物語はあるはず。今、踊り歌うことは、これからずっと先の時代をも見ている「明日への詩」なのだ。

(ツイッターにつぶやいたものを一つにまとめました)

キーワード:

荒馬座 / 水俣 / 水俣病 / 杉本栄子


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奥田みのり

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奥田みのり

“フリーランスのライター Twitter→ https://twitter.com/minori_okd ”


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