U2、デペッシュ・モード、メタリカ、ルー・リード。
カート・コバーン、マイルス・デイヴィス、イアン・カーティス。
アントン・コービンは、
ミュージシャンのポートレートやPVを手がける写真家だ。
アーティストとは、セッションをする形で相互関係を作る。
彼は、被写体をリラックスさせる能力を持っている。
対話から、お互いの賞賛が溶け出す。
心の中で、まず風景を切り取る。
カメラのシャッターを切り、時を止める。
選ぶのではなく、選ばされている感覚。
作風は粒の集合体のようだ。
重厚な黒色は、死を思わせる。
夭折したアーティストに扮したセルフポートレートで、
故人と対面するポップな一面もある。
自身の作品である映画「コントロール」、「ラストターゲット」
ニルヴァーナのPV「Heart Shaped Box」といった映像と
本作の風景がクロスオーバーしていく。
これまで私生活を吐露してこなかった、
ある写真家のファインダーを通して見る心の実録である。