世界トップアーティストが敬愛してならぬフォトグラファー、アントン・コービンの光と影の物語である。
アントンの音楽に対する愛、写真に対する想いが強調された場面が印象強い。
それに対し同じくアントンの写真に写るアーティスト達も、アントンを信頼し心を開く様子が伺える。
アントンの写真にもはや言葉は不要。
作品を通して写真からメッセージが伝わってくるのだ。
まるで目で言葉を聞いている様な摩訶不思議な感覚。
何故ここまでメッセージ性の強い作品が生まれるのであろうか?
アーティスト達の数々の言葉により、それは自然と解決する。
彼は人間の外見を捉えるのではなく、内面の魅力的な部分を捉えそれを写す才能がある。
同じ写真家として、この物語から大変学ぶ点が多い。
偉大な才能の持ち主である、アントン・コービンだが彼は才能だけを抱えて今まで生きてきた訳ではない。
彼の未完成な部分がシークレットに語られつつも益々魅了させられる。
見えぬ目標に立ち向かうアントンの後ろ姿は、勇ましくも哀愁に満ちている様であった。