『世界にひとつのプレイブック』を観た。
公式ウェブサイトhttp://playbook.gaga.ne.jp/
2月20日現在、25日発表のアカデミー賞の主要8部門(作品賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、監督賞、脚色賞、編集賞)にノミネートされているのも当然のハイレベルな秀作だ。
いろいろな映画祭での受賞歴も素晴らしい。
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暗いところが一つもない作品だ。
ラブコメの括りになるのだろうか。王道のハッピーエンド。
分かり切ってはいるがそこに至るまでの人々の紆余曲折がいい。
時に泣かせて、時に笑わせて。
一つ一つをシリアスにとらえたら、とんでもなく暗くなりそうな設定なのに(精神病院のお世話になった。ギャンブル好き等)何とも明るく笑いを誘う。
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主人公2人は心に傷を負っていて、一生懸命立ち直ろうとあがいている。
それを支える家族たちの愛情。
そしてその家族たちも問題を抱えている。
それをお互いに思い切り吐き出し、愛し合う人々。
主人公が掲げるモットーが「より高く!向上!」だ。
それを目指して頑張っている姿は心が温かくなる。
(注:このモットーの英語はニューヨーク州のモットーでもあり、日本の某カフェ・チェーンの名前でもあります。ぜひ映画を観て確認してください!)
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この映画は観ている者に沢山の元気をくれる映画だ。
観た後はとても心地よくなる。
ハートが飛び交うようなベタベタした映画ではない。
主演、助演の俳優たちの凄まじいまでのセリフの応酬。
見応え十分の場面が盛りだくさんだ。
よくこれだけのセリフを覚えたなと感心させられる。
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登場人物たちの個性も見事に表現されている。
ダメダメ親父のロバート・デ・ニーロ。
ファンとしては嬉しい、久しぶりに彼の演技をじっくり見られる作品だ。
いい味出してます。
お母さん役のジャッキー・ウィーヴァーは何とも可愛いお母さん。
ダメ親父に強く反対できないけれど、実はしっかり者かもしれない。
時々ぶっちぎれる二男をブラッドレイ・クーパーは生き生きと演じている。
目の輝きがとてもいい。
ジェニファー・ローレンスは末恐ろしい。
21歳だとは思えないような本気でぶつかり合う演技をする。
超美人ではないだけに(ファンの方、ごめんなさい)演技が光る。
要はこの4人のぶつかり合いで映画が出来ていると言っても過言ではない。
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映画のキャッチコピーにはイカレた二人とあるが、確かにかなりイカレている。
心に傷を負ったら誰しもがイカレるとは限らないが、辛くなるのは確かだろう。
海外(特にアメリカ)はカウンセリングが盛んだ。
盛んすぎるきらいもある。
日本では滅多にカウンセリングを受けることはない。
相談に行くとしたら、精神科か精神病院しか無い。
日本でも我慢を美徳とするばかりではなく、時には精神的な手助けをもっと積極的にするべきではないだろうか。
そうすれば、悲しい出来事も少しは減るのではと思ったりもする。
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とにかくこの物語は、セリフ劇としての脚本が素晴らしい。
これは舞台で演じられても素晴らしいものになるだろう。
ぜひ、舞台でも上演してほしいと思った。