昨晩は渋谷のアップリンクで映画『アルマジロ』(原題“Armadillon”、監督・脚本:ヤヌス・メッツ、デンマーク、2010年)の試写会&映画監督の森達也さんと映画監督兼自衛隊広報官の佐野伸寿さんによる公開直前トークイベントへ。
http://www.uplink.co.jp/armadillo/
いつもなら慣れ親しんだ道で、しかも行きは下り坂だということもあり、30分かからないのですが、前日の大雪で足元が悪いため、時間的に余裕をもって家を出ました。結果的には思ったほどではなく、あまり問題なく開場時間直後にはアップリンクに辿り着けました。
『アルマジロ』はアフガニスタンの治安維持を担当すると称する、国際治安支援部隊(ISAF = International Security Assistance Force)の前線基地に駐屯するデンマーク兵たちの半年間を映した従軍ドキュメンタリー映画。とは言えフィクションだと言われても不思議でないほど全般的に演劇的・人工的な肌触り。
製作はデンマークの国営放送で同国ではテレビ放送されたという。佐野さんの推測では、同国では自国兵士がアフガニスタンに派遣されていることが殆ど知られておらず、作中に登場する兵士たちも自分たちの存在を国民に知って欲しいと取材をOKしたのではないかとのこと。
しかしまず言えるのは、本作を観る限りISAFがアフガニスタンの平和実現に寄与しているとは、1/100も思えないということ。実際に作中に登場する基地周辺のアフガニスタンの一般国民は皆ISAFの重武装のデンマーク兵に厳しい拒絶反応を示していたし、ティーンエイジャーの男の子などは面と向かって全く臆することなく罵声を浴びせかけていた。
出発前の「壮行会」らしきパーティーで二十歳そこそこだと思われる兵士たちが、二三人のセックスワーカーに近い性的サーヴィスも提供するヌードダンサーと戯れる様子や(白人のポルノ的ファンタジーの具現化!)、基地内でパソコンの動画で古臭い「いかにも」系の洋物ポルノを観賞する様子も、遠慮なく映し出される。
個人としても組織としてもタリバンを戦闘ゲームに登場するような「人間」ではない「怪物」だと見做する若きデンマーク兵たちは、あからさまに攻撃的な植民地の白人占領軍にしか見えない。上記のポルノ的ファンタジーも含め、このような悪趣味な作品がデンマーク国民への広報に繋がるとは全く思えない。監督、デンマーク政府、デンマーク軍の意図はどこにあったのか、不思議にさえ思う。
そういう意味で、作品理解を深めるべくデンマークの世論をはじめ、そのコンテクストを知るためにも、上映後のトークイベントには同国事情に詳しい人物を呼ぶべきだった。つまりアップリンク側のトークイベントの人選に問題があったのではないかということだ。
19時半から上映が105分、10分ほどの休憩を挟んでトークショーが終わったのは23時過ぎ。2時間も続いた後者は内容的にも冗長で率直に言って苦痛だった。小さい会場にぎゅうぎゅう詰めのため途中退出もままならず、予め時間を予告しておいてくれ〜という感じ。帰宅は日付が替わる直前で風呂にも入れなかったし…。