この映画の存在を知った時からちょっと気になっていたので、trailerを見てから行ったが、その印象では、かなり劇的な展開があるのかなぁなんて思っていた。実際見てみると…1シーン1シーンが淡々と進んでいく。主人公のジョセフやハンナにすごく肩入れして見てしまう、というよりはかなり客観的に、距離を置いた冷静な目で見ていた。他人が自暴自棄になってしまっているところというのは、どうも冷たい目で見てしまうもの。ただ、そのシュールな感じがすごくいい。冷静に、ある意味「他人の目」から見て話を把握していくことで、感じられるものがあったように思う。
荒れた生活をするジョセフに対して、比較的きれいな家の中。最前列におかれながら額が傷ついた様子もない亡き妻の写真(写真自体はきれいな状態ではないが)。こういったところからも、ジョセフの妻への思いを感じさせようとしていたのではないだろうか。
やはり、この映画は製作者の意図を探りながら見て行くのが面白いのではないだろうか。「ラストでは胸のすくような感動」といった宣伝にはなっているが、個人的な印象としては、見た直後よりも、少しずつ、内容を噛みしめて身に染みて行くような映画だったと感じた。
あまり肩入れせずに見られたのは自分がまだ世の中の世知辛さを経験もしていない青二才だからなのか、この監督の手法なのかはわからないが、また違った映画の見方ができたことには満足している。