2012-08-16

『ライク・サムワン・イン・ラブ』クロスレビュー:キアロスタミの目でみるリアル このエントリーを含むはてなブックマーク 

主な登場人物4人、場所は横浜。
何気ない設定だが、どこか不思議な異国情緒もあり現実と非現実の中で漂う浮遊感がある。
あり得ない様でもあり、隣に起きた現実の様でもある・・。
映画が進む中で感じたこと「人生はまるで錯覚」それでありながら、今というリアルな現実が心に突き刺さってくる。
駅で心配しながら待つおばあちゃんの存在が胸に痛い。でも、時間が来ればきっと電車に乗って帰って行くのだろう。
大学教授は地位も名誉も築きながら、夫人を亡くした寂しさからひと時の夢をみたいのだろう。
何の為に働くのか、見知らぬ男の元へタクシーで送られる女子大生は分かれ道に入り、もう一つの人生を歩んでいるのかもしれない。
自動車整備会社を若くして営む彼は、自分を持て余して過剰な行動に出る。
どれも今ここにある日常で、是でも非でもない。響き渡る怒声は心に残り、割れたガラス
は片づけられる。リアルはそんなlife is go on。
古びたマンションの一室は外の世界から切り離され奥行きがあり、気品さえ漂う。
女子大生の格好はコートを脱ぐと一変し、靴下を引っ張り上げることで元にもどる。
普段は優しそうな彼の豹変する凶暴さ。
優しいおばあちゃんの口からこぼれる不安げな言葉。
相反するものの際にあるものはリアルかもしれない。

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