2012-06-09

『少年は残酷な弓を射る』クロスレビュー:自分の子供はモンスターになるのか? このエントリーを含むはてなブックマーク 

子供を持つ親なら必ずある不安、立派な親になれるだろうか、子供は丈夫に育つだろうか、まさか自分の子供がモンスターに育つなんて思ってもいないはず。
幼いケヴィンは母親を睨みます、そして悪戯をしては不適な笑みを浮かべる。それは思いもよらない妊娠、キャリアウーマンとしての仕事を中断させられたエヴァに「息子を愛せるのか?」と悩ませます。
時折、回想シーンが挿入されるという構成で、残酷な現実とはかけ離れた美しすぎる映像、音や音楽の使い方、すべてが魅力的でした。
レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが手掛けたものですが、音楽の使い方は本当に斬新でした。この演出でさらにサスペンスの要素と恐怖感が加わったと思います。
原作はライオネル·シュライバーのベストセラー小説ですが、限りなく完璧に映画化されていると思いました。
キャストもとにかく素晴らしい!母親役のティルダ・スウィントンのリアルで悲壮感ただよう演技も良いし、少し出番の少ない(?)父親役のジョン・C・ライリーのユニークなキャラも生きていると思います。
何よりエズラミラーの優等生で賢い少年なのに、なぜか闇をかかえているような感じの恐ろしい目つきや仕草を持っていて、身震いするような怖さがありました。
子育ての失敗とは一体何なのか、では刑務所にいる少年、少年だった大人はすべて親が作り出した悪魔なのか?と考えさせられます。
愛してさえいれば子供は正常に育つはずなのか?ケヴィンの犯罪は防げたのか?エヴァの愛情が足りなかったのか?なぜ?という疑問が残り、観た後しばらくは少年犯罪について考えさせられます。
少年犯罪に限らず、"愛さえあれば残酷な現実は起こらない"という一種の綺麗ごとを全否定するのがこの映画のような気がします。
自分の子供が恐ろしい犯罪者に育ってしまったら、それでも自分の子供のことは絶対に嫌いになれません。もし自分の子供が被害者になったら、ペンキを塗られた加害者の家を見て安心する自分がそこにいると思います。

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minamina1020

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