5月27日、横浜サムズアップにて開かれる音楽イベント【心の音楽祭 横浜から石巻へ】をご紹介します。今からお届けするのは、その催しを企画した打越文彦さんのインタビューです。
「オミゴトさん」の愛称で知られる打越文彦さんは1964年静岡生まれ。打楽器（パーカッション）奏者としてKeison、CARAVAN、 Rickie-Gらのライブに参加。2009年、水難事故に遭い一時全身麻痺となるも奇跡的に回復。退院から半年後、オートバイ「ハンターカブ」に乗り鳥取からロシアに渡り、ヨーロッパ、アフリカへと旅を続けていました。
そんなオミゴトさんは2011年3月の帰国後、9月に石巻で行われた【心の音楽祭】の企画に携わっていきます。
携帯電話を持っていないオミゴトさんへのインタビューは、4月末にskypeで行いました。これから記すものは、オミゴトさんというひとりの人間が生身で行動し、繋がってきたその結果と意思、その記録です。ぼく自身文章を書き起こしながら震える瞬間が幾度もありました。「今」という、決して容易ではないこの時代を生きるすべての人に、ひとりでも多くこれを読んでほしいと心から願っています。
もしあなたがサムズアップに足を運べなくても、これを読み、知り、そして誰かに伝えてほしいのです。
では、オミゴトさんのインタビューをお届けします。
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meetsPEOPLE（以下mP）：2011年3月11日、オミさんはどこに居ましたか？
OMIGOTO：その時は旅をしている最中で、モロッコに居たんだよね。テレビで地震と津波、原発の映像を見て、今までに感じたことのない衝撃を受けた。それはきっと、日本にいた人も、日本以外にいた人も、日本人なら誰でも同じような衝撃を受けて、同じ感覚を持ったと思う。
mP：それからすぐに帰国したんですよね？
OMIGOTO：そう。3月26日に帰国した。日本に着いてすぐに事の重大さとみんなが何かに怯えているのが感じ取れたから、事情を確かめるため成田についてその足でサムズアップの『HOPE』に行ったんだ。当時はモロッコにいて、自分を家族のように思ってくれる人たちが周りにいた。自分が「日本に帰る」と言うと、彼らは必死になって止めてきた。地震に加えて、彼らはすでに放射能のことも知っていたから、「今帰ってはいけない。絶対帰っちゃ駄目だ」ということを強く言われたんだ。それはとても嬉しかったんだけど、それでも帰ろうと思ったのは、やっぱり自分が日本人だからってことだと思う。旅をするなかで、それは地震の前から思っていたことだけど、日本人には人を思いやりながら生きている強い結びつきを知ったんだ。人が困っている時に見て見ぬふりの出来ないメンタリティ、国民性が日本人にある。それは日本が誇れることで、もし外国の人も日本人のような思いやりを強く持って、それが世界に広がっていたら、つまらない内戦や争いが減るはずだから。 2009年に水の事故にあって、その半年後からは今まで以上にずっと旅をしてきた。地図を持たず、ガイドブックも持たず、携帯も持たず、先を決めるものは何もなく、予定も期限も目的地も決めず、「冬が来ると寒いから南に行く」とか、勘を働かせ旅をしてきた。そうやってると出会っていくんだよね。目の前にきたことに純粋に接していると、新鮮な出来事や人との出逢いがそこに生まれて、自分がいまやるべきことや行くべき場所が必然と流れて行く。そうやって自分は旅をしてきた。旅には人の縁や自分そのものの価値観が凝縮して成長していく。だから、地震のことがあって、自分の意識がはっきり変わったんだよね。これまでは、旅というのは自分の冒険という意味が大きかった。でも、人に出逢っていかないと旅は前に進んでいかないし、生きてもいけないんだよね。そう思った時に、旅のなかで自分が人からもらったものを、人に返していくことが自分のするべきこと、生きてきた体験を人と対話していくってことが自分の役割なのかもしれないと思うようになった。人が行ってない環境や場所に行ったり、人がしていないことをしたり、旅のなかでそうした経験を通して成長していく。笑いながらさ。それが自分が出会った全てに返していけることだって、旅の意味を知ったんだ。
《続きは下記で↓》
http://www.meetspeople.org/2012/05/22/feature-6/
（インタビュー・峰尾亮平、Saori.N、バル ／ 文：峰尾亮平）
