映画『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』に登場する肥田舜太郎氏は、2012年に95歳になった現役の医師。軍医時代に広島で被爆者の治療を行い、自らも被爆を経験した”広島原爆の生き証人”でもある。
肥田医師は「私に課せられた使命として、自分の体験を死ぬまで語り続けていきたい」と、現在も各地で講演会を行うなど、核廃絶のために積極的な活動をしている。いわば核廃絶論者の第一人者ともいえるだろう。
不勉強でお恥ずかしい話ではあるが、私は肥田先生の存在をこの作品で初めて知った。もちろん、先生が語られた広島での出来事も、初めて聞くことばかり。正直とても驚いた。
核兵器が人体に及ぼす影響を知るために、広島の人たちが野外で活動している時間を事前に調べ、朝8時15分に狙いを定めて原爆を投下したこと。広島に作った「ABCC(原爆傷害調査委員会)」では、被爆者の治療ではなく、検査のみ行っていたこと。アメリカが被爆者をまるでモルモットのように扱っていたことには、怒りを通り越して呆れてさえしまう。
また、アメリカが広島で行った原爆の調査結果が、核に対する恐怖をなくすようなものだったため、原発の安全神話が世の中に浸透し、日本でも原発を導入してしまったという事実。そのことが、3・11福島原発事故にもつながったのかもしれないと思うと、やりきれない気持ちになってしまう。
私はこの作品を通じて、アメリカ政府によって隠ぺいされた原爆の真実を知ることが出来た。ぜひ多くの方にこの作品をみて頂き、”広島原爆の生き証人が語る真実”を知ってもらいたい。