骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2012-04-06 22:30


被曝者の実態を隠蔽した政府、福島原発事故以来見慣れた姿がここにある

『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』クロスレビュー
被曝者の実態を隠蔽した政府、福島原発事故以来見慣れた姿がここにある
映画『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』より

『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』は、1945年8月原爆に被爆し、直後から被爆者救援・治療にあたり現在まで被爆者治療と核廃絶運動に力を注いできた肥田舜太郎医師を描くドキュメンタリーだ。フランス人監督のマーク・プティジャンは、2004年に肥田医師の著作『広島の消えた日』を読んだことをきっかけに、被爆者に対して米国と日本政府がどんな態度をとったのかを知り、肥田医師に会って、看てきた人たちのことを映像化しなければいけない、と制作を決めたという。今作は肥田医師の献身的な態度、そして熱のこもった語り口とともに、非民主的に進められてきた核の技術の発展を痛烈に告発する。

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映画『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』より

2005年に制作された『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』とともに、311以降毎週行なっている肥田医師の講演を収録した『311 以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』が同時上映される。両作を通して、内部被曝の隠蔽の問題が戦後から現在まで繋がっている事実が露わになる。歴史を知ること、その歴史における情報操作の怖ろしさを認識すること、そして「あなたの命は世界でたったひとつの大事な命なのだから、自分を大切にして生きる」と説き続けている肥田医師のメッセージは、311以降の社会であらためて胸に刻まなければならないだろう。




映画『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』
2012年4月7日(土)、渋谷アップリンク他、全国順次公開

監督・脚本・撮影・録音:マーク・プティジャン
助監督・編集:瀬戸桃子/製作:オンライン・プロダクションズ
日本版ナレーション:染谷将太
フランス/2006年/日本語・英語/53分

併映作品:『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』
日本/2012年/日本語/27分

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/kakunokizu/

▼『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』予告編



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