軍事政権の1977年から78年のアルゼンチンが舞台の映画!なんといっても、あの伝説の女優?!ノルマの出演で非常に注目とともに、楽しみにしていた映画です!
主人公の子供、アンドレスとお母さんとお兄さんの平凡な暮らしから映画は始まり、どうもお父さんは存在しているけど、別居している?ようで、お母さんのボーイフレンドが出入りしている家。このボーイフレンドの存在が、この映画の鍵です。
アンドレスは、お母さん子で、とても可愛くて、瞳の綺麗な、女の子にも見えるかもと感じました。おとなしくて、おちゃめな子供として、生活。でも突然お母さんを交通事故で亡くして。
でもこれには謎めいた感じもあって、ちょっとサスペンスタッチ!
お母さんの死により、ノルマ扮するおばあさんと、怒りっぽいお父さんとの暮らしになる‥アンドレスは、どちらかというと、優等生的なお兄さんと違い、何かと反抗‥学校でも、校長室に呼ばれたり、家でも、大好きなお母さんはもういないし‥セバスチャンと言うどうも胡散臭い男性が登場。なぜか、アンドレスに親切で、彼にプレゼントをあげたりして。
映画の中で、時期を区切りながら、それをわかりやすく描いていますが、映画の中盤まではそれほどの変化を感じないのですが‥でもここまで見ていて感じた事は、アルゼンチンの軍事政権の雰囲気と言うか、暗い雰囲気が漂っています。
アンドレスはとにかくお母さんが大好きだったからか、突然の死からか、だんだん暗くて口数も少なくなってきます‥おばあさんや、近所の人たちの会話、お父さんの様子などなどから、敏感に感じ取るものがあるのでしょうか‥表情がどんどん暗くなって‥
お母さんのボーイフレンド、アルフレドに助けられる事が起こるのですが、そのとき、胡散臭いセバスチャンから、問いただされ、アルフレドは本当におじさんなのかと。一応おじさんとは答えるものの‥この時の表情が、いかにも本当は違うと言っていたように思えました。
アルフレドが行方不明になり、車も黒焦げで見つかり、近所や、特におばあさんが驚きを隠さず。愕然とした表情は秀逸です‥
この時の、アンドレスの表情は無表情でなんとも言えない変化でした‥最初の彼と、たった1年たつかたたないかなのに、驚きです!暗くて、何かを含んで、そしてとげがある!
結末には愕然です‥思いやりにあふれたアンドレスはもういない‥
一瞬、背筋がぞくっとして寒くなりました。
監督は、子供の目線から見た軍事政権を描きたかったとのことですが、子供の方がある意味残酷なのかもと思いました。
この映画は、血が飛び散ることや、残虐シーンはありませんが、凄く怖い、怖さを表現した作品と感じました!秀逸の一本!公開館が少ないのが残念です。