2011-07-04

【『ふゆの獣』クロスレビュー】:あなたのなかにいる獣 このエントリーを含むはてなブックマーク 

「お前が夜に鍵を無くした時に、俺が呼ばれるのはご免だから、鍵を返すよ。」「それどういうことよ、持っててよ。」観客が笑ってしまうほどの、あさましさ。何度か繰り返されるこの問答を、スクリーンのこちらから垣間見ていると「そうか、この人は他の人の心を(自分のことを愛する人の心さえ)理解できない人なんだ。」とあなたは思い始める。映画には狂った人がたくさん出てくるし、ましてや東京っていう都会にはよくわからない人があふれているものだよね、と。しかしその「気狂い」や「よくわからなさ」は、あなたを引きつける。「なんでこの人たちは、まともな恋愛ができないんだろう。」物語が進むにつれて、自分がそう考えたことに気付く時、あなたはすでにふゆの獣たちの虜になってしまっている。知らず知らずのうちに自らに課していた「標準さのものさし」が実際に即してはなんの役にも立たない事に気がつくのだ。自分が「獣」じゃないだなんて、だれにいうことだできるだろうか?

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iwi8

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