2011-04-07

2011年も・・・ヨーロッパアニメーションの威勢 このエントリーを含むはてなブックマーク 

こんにちは、オフィスHの伊藤です。

3.11の圧倒的な天災。この半世紀だけでも、数々の地震、津波、火山噴火があり、この地での営みは地中深くの変動で右往左往する。先祖たちは、こういう土地を守り、時に牙を向ける自然を堪え忍んできたのですね。
さらに、原発事故という人災・・・
日本の外では、変化や進展は立ち止まってはくれない。

米アカデミー賞にもノミネートされた、シルヴァン・ショメ監督の『イリュージョニスト』を観てきました。
長編アニメーション初監督の『ベルヴィル・ランデブー』で鮮烈で、記録的なデビューを飾ったショメさんの新作です。
フランス出身のショメさんが、スコットランドのエジンバラに本作のためのスタジオを立ち上げ、韓国のアニメーションチームも参加した国際合作。
フランスの喜劇王ジャック・タチさんが書き下ろし、CNC(フランス映画センター)のアーカイブに眠っていた脚本。

味わい深い美術に目を奪われる。軽妙な手付けアニメーションの人物たち。
セリフをほとんど使わず、人物や時代を描く巧みさは前作と変わらず。
前作との違いは、感動が押し寄せるのでなく、じわじわ~と来るところ。
切ない映画。20世紀半ば、ミュージックホール(日本でいえば演芸場かしら)で人気を博した手品師や芸人たちが大衆娯楽の変転に取り残される一方で、近代化・都市化の波に乗り始める人々・・・
ヨーロッパアニメーションの広がり、充実ぶりを実感できる。

日本には、震災前から漂う後ろ向きムードが3.11以降強まった気がするので、このタイトルは刺激的にしてみました・・・「ヨーロッパがそんなにエライのか!」って、キレしないでくださいね。
(1)Cartoon Movie、ヨーロッパアニメーション、成長への道
(2)花開くコリア・アニメーション2011
(3)『平成富嶽三十六景 for Airplay』
(4)つながろう・・・「アフリカンライブ」
(5)“こまねこ”のドワーフから、「てをつなごう だいさくせん」
(6)アヌシー2011、公式コンペ ノミネート作品発表
(7)クリエイターズワールド2011 パイロット版ネット公開中

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(1)Cartoon Movie、ヨーロッパアニメーション、成長への道

3月上旬フランスのリヨンで、ヨーロッパの長編アニメーションのプロジェクトピッチ・フォーラム「Cartoon Movie(カートゥーン・ムービー)」が開催されました。
ヨーロッパアニメーションの勢いが伝わるレポート(翻訳)を紹介します。
今回のハイライト:
○ 参加者35カ国から700名超、記録更新(前年比15%増)
○ ヤングアダルト/おとな向け映画の新潮流(出品プロジェクト56本の30%)
○ テーマの新傾向:シリアス、倫理的、政治的トピックス、そしてパーソナルな独立系のアートフィルム
○ 制作費の低下:平均1作品500万~700万ユーロ(約6億~8億4000万円)
○ 実写映画監督の進出:フランスのパトリス・ルコント、イギリスのテリー・ギリアム、スペインのフェルナンド・トルエバ
このつづき>> http://blogs.yahoo.co.jp/hiromi_ito2002jp/61801572.html

Cartoon Movieは、ヨーロッパのアニメーション(制作、産業)の振興を目的とする非営利国際組織CARTOONが主催するイベント。
CARTOONはEU域外との交流や国際共同制作の振興を目的とするCartoon Connectionを始めています。
昨年、韓国とのネットワーキングでは成果があり、今年も予定されていました。ちょうど東京国際アニメフェアと同時期に予定されていましたが、日本の大災害の余波で5月へ延期されました。
外に開かれ、外へ出て行く韓国(人)はヨーロッパのアニメーション界でも重要なパートナーになっているようです。さて、さて日本は?

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(2)花開くコリア・アニメーション2011

今年で4回目となる「花開くコリア・アニメーション」が開催されます。
日本側の運営をおこなう、三宅敦子さんから3月9日に届いたお知らせメールです:
昨年韓国で開かれた映画祭「インディ・アニフェスト」で上映された最新作の中から、よりすぐりの短編アニメ30本を「Inside」「Outside」「Youth」の3プログラムに分けて上映。
国立映画学校「韓国映画アカデミー」出身の3人が制作した長編インディーズアニメーション『ロマンはない』を特別上映!
Indie-AniFest一般部門優秀賞受賞「EATING」のチャン・スンウク氏と日本の若手作家水江未来氏とのトークあり!
両国の若手作家の話を通じて解かれるアニメーションの“動向”に注目!
3DCGやアナログ技法を駆使して、自己の内面心理や社会的なテーマを活写する韓国アート・アニメーションの世界をどうぞお楽しみ下さい!

三宅さんたちは中止を検討したそうですが、「このような時期だからこそ、花開くコリア・アニメーションを開催することが韓国から日本に対してエールを送ることになるであろう」と、日韓主催者が合意し、予定どおり3会場(東京・大阪・名古屋)で開催するそうです。

■東京:4月16日(土)、17日(日)/渋谷UPLINK
■大阪:4月23日~28日/PLANET+1
■名古屋:5月14日、15日/愛知芸術文化センター
詳しくは公式サイト>> http://www.geocities.jp/ako790107/ianifest/index.html

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(3)『平成富嶽三十六景 for Airplay』

『虫が演じるシェイクスピア ロミオとジュリエット』という、不思議な映画を監督された岩木呂卓巳さんが新作をiPhoneでリリースしたそうです。
内容・・・富士山を1分間に一度シャッター切り、14日間撮影し続けた中の数日間を約5分間に映像化した作品です。常に変化していく富士山の姿が癒しをもたらす・・・なるほど、モノホンの虫にロミオとジュリエットを演じさせた岩木さんらしい趣向。
題して、『平成富嶽三十六景 for Airplay』
http://appshopper.com/healthcare-fitness/%E5%B9%B3%E6%88%90%E5%AF%8C%E5%B6%BD%E4%B8%89%E5%8D%81%E5%85%AD%E6%99%AF-for-airplay

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(4)つながろう・・・「アフリカンライブ」

アフリカに魅せられた岡野由美子さんから届いたお知らせ。セネガル出身のアーティストらによる、太鼓とコラ(アフリカンハープ)のライブです。
JAY'Sダイニングレストランでは、ガーナから運ばれた木で手作りされた丸太の椅子、テーブルの他、アフリカンライフを想像させる、瓶を溶かして作ったランプの下でアフリカンフードを楽しめるそうです。

■4月15日(金) Naked MAUライブ
横浜/関内 KAMOME
出演:永田利樹b、早坂紗知sax、神村晃司p、コスマス・カピッツァdr、ママドゥ・ローper
料金:予約3000yen /当日3500yen

■4月24日(日) アフリカンライブ
相模原 JAY'Sダイニングレストラン
出演:ママドゥ・ロー、アブドゥ・バイファル、ヤクバ
料金:2500yen
   ママドゥ・ロー http://www.mamadoulo.net/
   アブドゥ・バイファル http://bayefall-lj.blogspot.com/
   ヤクバ http://kora.holy.jp/

■4月29日(祝) andando world music live
相模原 JAY'Sダイニングレストラン
出演:永田利樹b、早坂紗知sax、ママドゥ・ローper
料金:2500yen
   永田利樹 http://nagata.xxxxxxxx.jp/
   早坂紗知 http://www.ne.jp/asahi/stir/up/

詳しくは、ママドゥ・ローの公式サイト>> http://blog.mamadoulo.net/

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(5)“こまねこ”のドワーフから、「てをつなごう だいさくせん」

「てをつなごう だいさくせん」は、こま撮りアニメーションスタジオのドワーフを率いる合田経郎さんが大震災後後、「何か自分たちにできることはないか」と考え、立ち上げたプロジェクトだそうです。
どっかでみた・・・お馴染みのキャラが手をつないでいます>>
http://www.teotsunago.com/

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(7)クリエイターズワールド2011 パイロット版ネット公開中

震災と停電のために中止された東京国際アニメフェア(TAF)で予定されていた、クリエイターズワールド2011(CREATORS WORLD 2011)。
クリエイターズワールドというのは、インディペンデントの映像作家やアニメーターのプロモーションスペースです。
TAF10周年を記念し、今年からパイロット版制作支援プロジェクトを始めた矢先でした。
支援対象パイロット版がネットに公開されています>>
http://www.tokyoanime.jp/ja/creators_world/new_project/

こういう中から、国際的に活動する監督やプロデューサーが登場するといいですね。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆
後記
『イリュージョニスト』は、久しぶりに再会した学友と一緒に観ました。
昨年のアヌシー・フェスティバルでは鑑賞叶わず・・・仕事半分で六本木へ行きましたが、けっきょく“一観客”として堪能。
旧友は、身につけた春花柄のコートと帽子が良く似合い、華やいだ感じ。二人とも、知命の年回りながら、まるで二十歳の乙女(苦笑)のように話しが弾むこと。
彼女もヨーロッパアニメーションの魅力に開眼するといいなぁ。

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伊藤裕美

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伊藤裕美

“インディペンデント映画(アニメーション)を広める活動をしています。”


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