2011-03-14

アメリカのリアル時代劇【『トゥルー・グリット』クロスレビュー】 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 ジョン・ウェイン主演、1969年の傑作西部劇「勇気ある追跡」を「ノーカントリー」でアカデミー賞を総ナメにしたジョエル&イーサン・コーエン監督がリメイク。いぶし銀の西部劇に仕上がっています。もちろん主役の三人(ジェフ・ブリッジス/マット・デイモン/ジョシュ・ブローリン)の演技は素晴らしいのですが、やはり特筆すべきはストーリーの骨格と、そのストーリーに倚りかからずに淡々と映像と演技をつなげるコーエン兄弟の手法。ハリウッド的なエンターテインメント性を排し、映像の美学、西部劇の美学に徹しています。特にラストシーン、少女を運ぶ連邦保安官の姿は、セリフなど無くとも、その熱い心がスクリーンから伝わってきます。

 淡々と進むストーリーに賛否両論はあると思います。しかしこれはアメリカの古典。リアルに描かれた古典なのだと思います。言ってみればアメリカの時代劇なのです。アメリカの19世紀の司法制度、裁判や死刑制度のリアルな表現、また街と居留地との関わりなど、痛快な娯楽とは無縁の演出。また四半世紀後の街の変化のリアルさ、徹底的にリアルにこだわった西部劇。アカデミー賞ノミネート(最優秀監督賞;コーエン兄弟、最優秀主演男優賞;ジェフ・ブリッジス、最優秀助演女優賞;ヘイリー・スタインフェルド)というのも頷ける作品です。

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tunes

ゲストブロガー

tunes

“いろいろ好きだったりします。”