この映画を観る前は、内心ちょっとビビッていました。
「 難しい映画だったら、どうしよう? 」
だって、「 ベオグラード 1999 」のチラシを見ると、難しそうな言葉が並んでいます。
「 新右翼・一水会 」「 ユーゴ連邦解体 」「 右翼 VS 左翼 」「 ナショナリズムの深層 」・・・・・・・・。
映画を見る前に、何か本でも1冊読んで、予習をしておいた方が良いかしら・・・・?
映画を見て、ちんぷんかんぷんだったら、どうしましょう?
でも、大丈夫でした。
何の予備知識が無い人でも、ちゃんと分かる様に、映画の中で説明してくれています。
普通の右翼と、新右翼はどう違うのか等、基本から解説が有ります。
私は元々、ドキュメンタリー映画は好きで、なるべく機会を逃さずに見る様には、しています。
最近のドキュメンタリー映画の充実振りは嬉しい限りです。
中でも「 闘う人々 」を描いた作品は、いつまでも心に残りますね。
「 YASUKUNI 」「 ANPO 」等の流れで、この「 ベオグラード 1999 」も、
いつまでも記憶に留まる映画になる事でしょう。
この3本の映画は、日本人なのに、日本の事を知らなかった、知ろうとしなかった自分を
恥ずかしく思うきっかけを与えてくれます。
それぞれの映画が、それぞれの味付けをしていて面白いと思うのですが、
「 ベオグラード1999 」は、他のドキュメンタリーとは大きく違う点が有ります。
それは、監督の元恋人が出演していると云う事です。
彼女と一緒にイラクのバビロン音楽祭に行き、そこで一水会の木村三浩と出会い、
彼女は一水会の事務局で働き始めてしまう・・・・・・・・・・。
そして彼女は2006年に、この世の存在を止めてしまいます。
この映画を作る事を思い立ったのも、彼女の衝撃の決断がきっかけだった事は否めないでしょう。
私が女だからでしょうか?
この映画は、右翼だとか左翼だとか、活動だとか、イデオロギーとか、
そんな事が言いたかったのではなくて、ただただ彼女への想いを断ち切れない男の恋愛映画に
見えて仕方が無かったのです。
スクリーンに映し出される彼女の顔は、とても綺麗です。
それは、彼女が美人だからと云う以上に、撮影者が被写体を愛しているからこその美しさに見えます。
だって、金子監督、もし彼女がまだこの世にいたら、貴方はこの映画を作りましたか?
もしかしたら作ったかもしれませんが、それはもっとずっと後になった筈です。
彼女の決断が、1つの作品を生んだと想うと、複雑な気分ですね。
この映画は、賛否両論に分かれるらしいですよ。
上映禁止の仮処分も受け、処分取り下げになったものの、映画は裁判所の検閲で所々の音声が、カットされたままでの上映になっています。
賛否両論の所へ持って来て、「 これは恋愛映画だ!」と言い出す女も現れて、
もう、しっちゃかめっちゃかな様相を呈していますね。( 笑 )
さあ、貴方はこの映画を見て、何をどう思うのでしょうか?