2010-10-24

ハンス・ランダについての覚書(『イングロリアス・バスターズ』byタランティーノ)プラスα このエントリーを含むはてなブックマーク 

 ハンス・ランダが「取引」のあと、ピストル自殺をしていたら、観客を、より動かしたかもしれない。
 しかし、それではキルケゴール言うところの「ギリシャ悲劇の英雄」である。
 そこから、『大菩薩峠』の机龍之介よろしく、「私利私欲」をむき出しにするのがいい。
 そしてタランティーノは更にその先へ行く。
 ランダ大佐は、額にカギ「十字」を刻印されるのだ。
 「こいつは俺の最高傑作だ」とは、深い問いである。(2010.9.23)

(「坪井野球ブログ」より転載)
http://2boy-yakyu.blogspot.com/2010/09/blog-post_2190.html

 今日、二回目を観る。
 感想はTwitterに書きましたが、こちらも覚書です。
 ネタバレするので書ききれないけれど、やはりヒロイン(ショシャナ)とドイツの英雄(フレデリック)の恋の結末がすばらしい。
(以下、 http://twitter.com/#!/2boy より転載)

 タランティーノ『イングロリアス・バスターズ』観る。二周目。自分は『キル・ビル』に引き続き現代アメリカ論としてこの映画を受け取った。ハンス・ランダ大佐が「2回」ヒロインのショシャナを見逃していることに気づく。町山智浩が、ランダ役のヴァルツにインタビューで、彼がショシャナを(続く)
 …見逃したのは何故か? と聞いている。この質問は非常に優れていると思う。映画は勿論、歴史も文化も全然蓄積のない自分が勘だけで、ひとつ仮説を言ってみる。作中映画『国家の英雄』でスナイパーが立てこもり上方から射殺しまくる「塔」は、「世界貿易センタービル」の暗喩かもしれない。
 タランティーノはビルを爆発させる。正確にいうとビル実物を破壊するのではなくて、ビルについて語る(プロパガンダ)映画をぶっ壊す。ぼくは『キル・ビル』シリーズも、文字通り「ビル」を殺す映画だと思っている。罪人が服を着替えて市民に成りすますというモチーフもPF〔Pulp Fiction〕、KB〔Kill Bill〕、IB〔Inglourious Basterds〕と成長してる。

(2010.10.24)

キーワード:

Movie / Review / Criticism / ContempraryAmerica / Capitalism


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