2010-10-20

映画『ゲド戦記』と『天空の城ラピュタ』を見比べる このエントリーを含むはてなブックマーク 

 月曜の午後、最近ずっとル=グィンを読み進めている関係で、是非一度観たいと思っていたジプリのアニメ映画『ゲド戦記』(監督:宮崎吾朗、声の出演:岡田准一(V6)、手嶌葵、菅原文太、風吹ジュン、田中裕子他、2006年)のDVDを区の図書館で観賞。

 区の図書館のDVD観賞コーナーも初めての利用。設備は予想以上に貧相で、貸し出しカウンター横の一角に、大きなブラウン管テレビとリクライニングチェアがワンセットになっていて、それが互いに仕切りで分けられているだけという感じでした。音量調節以外の操作はカウンターでやるので、巻き戻しとかも一切出来ないし、カウンター横のせいで、ちょっとウルサいです。しかもブラウン管テレビなので、液晶画面に慣れた眼には、画像の粗さが気になるし。

 一応DVDソフトは新しいものも入っているみたいですが、現状では落ち着いて観賞するというより、ヒマな時に一度観てみたい作品を試しに観てみるという感じで利用すべきところみたいです。

 で、肝心の『ゲド戦記』なんですが、一言で言えば、「う〜ん…」という感じでした。原作者のル=グィン自身の表明している違和感(下記のリンク参照)等、評判の悪さに予め影響されていることは否定しませんが、ダメでしたねえ。まさしくル=グィンが指摘している通り、この作品を観ただけでは、たとえ何度も観たとしても、正直どういう設定でこういう展開になるのか、理解出来ないため、物語に納得出来ないんです。そのせいで登場人物に共感することも出来ません。特にハイタカ(ゲド)とクモの間の因縁が説明不足だし、とりわけテルー(テハヌー)と竜の関係については作中では何も言われておらず、末尾で彼女が竜に変わるシーンには唐突感が否めません。テルーは作品冒頭で登場する争い合う二匹の竜のうちの傷つけられた方の化身なのでしょうか?また作画もジプリに似つかわしくない急づくりな感じがします。更に主人公のアレン(レバンネン)が時折見せる、梅図かずおの恐怖漫画に出て来るようなおどろおどろしい表情が気持ち悪く、彼に思い入れることも不可能です。

 http://hiki.cre.jp/Earthsea/?GedoSenkiAuthorResponse

 観賞後、幡ヶ谷のクリーニング店で仕上がった衣料を引き取って、それを家に一度置いてから、東北沢〜下北とウォーキングがてら食料品の買い出し。寝不足だったこともあって、家に着いたら即、畳の上で一時間以上ごろ寝してしまいました。

 
 その晩呑みながら、ちょうど二〇年前の最初のジプリ作品(『風の谷のナウシカ』はトップクラフト製作)『天空の城ラピュタ』(監督:宮崎駿、声の出演:田中真弓、横沢啓子、初井言榮、寺田農他、1986年)を観賞。

 既に何十回と観ているにも拘らず、ドーラ達がシータを拉致したムスカ一味の乗る客船を襲うオープニングから、井上杏美の歌う『君をのせて』が流れるエンディングまで食い入るように観てしまいました。自宅で一人酒を呑みながらの観賞だったこともあり、後半はもう涙ぽろぽろ…。

 唯一の難点は、ラピュタの下三分の一が崩れ落ちるシーンにやや粗さが目立つことだけ。それ以外は細部まで本当によく作り込まれていて、涙あり笑いありで、文句のつけようがなく、一度通しで観賞後、パズーとシータが一緒に「パルス!」と叫ぶシーン等、お気に入りのシーンを何度も繰り返し観てしまいました。

 また宮崎駿にこういうSF色の入った作品を映画化して欲しいなあ。とは言え今のジプリだと、演技力軽視の話題づくりのための有名人のキャスティング(『ポニョ』の所ジョージや長嶋長男の演技は酷かった)に、ゲンなりさせられるんだろうけど…。

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知世(Chise)

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