内田樹『下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち』
理屈はつじつまがあっている。
前半の教育論も、すぐれている。
しかし、ニート・フリーターをばさりと切った箇所は、暗澹たる思いになった、読んでて。
愛も哀しみもない本だ。
内田の話にあわせて言うならば、働かない若者は「無時間的」だから絶対に動かない、というその内田の見解が皮肉なことに「無時間的」である。
若者に自ら「時間性」が生じることを内田は信じていないし、願ってすらいないのだ。
ぼくはこの本を読んで、内田先生には日本のマスコミを象徴する、ある態度がみてとれるなあ、とずっとおもっていました。
先日、内田はトカゲのしっぽきりのように、マスメディアに引導を渡した。
何も言うべきことはない。
ただ、中野重治ならばむしろ劣勢の時こそ、その陣営に加担しただろうと思うだけだ。
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(参考:内田樹「腐ったマスメディアの方程式──君たちは自滅していくだろう」(現代ビジネス) http://bit.ly/c8KL7y)