森の中へと入っていった2人だが、ユキはあえてニナとはぐれ、本能の赴くままに森の中を歩き続ける。と、いきなり開けた場所は日本の田園風景。
何の予備知識もなしに観た映画だが、傑作であり、怪作と言ってもいい。台詞はほとんど即興(子どもも!)。無限大の内的世界を持った子どもが蠢く、無限大の存在を孕む森。ノスタルジックでメルヘンチックなおとぎ話を想像して入ると、思わぬ衝撃を受けるに違いない。
ユキの父親は離婚の哀しさからか、深夜大音量の音楽とともに酔っ払って踊り、起きてきたユキに「大人なんてヘンな生き物なんだよ」と呟く。何だか身につまされてしまう。そして観る者はヘンな生き物の大人であると同時に、底知れない生き物である子どもにも自分を投影する。だから、これは「ユキとニナ」の物語ではなく、「ユキ」の物語だ。
エンディングテーマは、UA+大島保克「てぃんさぐぬ花」。これもさりげなく秀逸。
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