(以下、プロフィールより抜粋)
私は日雇いのアルバイトをしておりましたが、10月に入り、仕事が激減しております。自民党から民主党に変わったためでしょうか、それともたんに私が『ハブられ』ているためでしょうか?
と言いますのも、私には心当たりがあるのです。
私は都内にあります大型マンションの仕上げ工事に駆り出され、何日間かそこで作業することになりました。現場は私の住んでいるところから約2時間くらいかかります。通常の建設現場だと、朝礼が開始される8時までに着替えを済ませてそこにいれば良いのですが、今回のところは日本を代表する超大手ゼネコン・清流建設の現場。
そこでは朝礼が7時50分から始まるのです。加えてラジオ体操の時間まで、朝礼前に組み込まれています。ラジオ体操は作業員が強制的に参加させられるもので、仮設トイレに隠れるとかは許されません(見つかったら出入り禁止になりかねないでしょう)。
すなわち、実質、7時45分にはスタンバイしていなければなりません。他の現場と比べると15分、始業時間が早いようなものです。超過です。しかし30分の超過ではありませんから残業代はつきません。サービス残業です。
最初の頃は、特に何も思わず仕事をしておりました。しかし数日が経過すると、だんだん疑問が強くなってきたのも事実です。何でおれは往復4時間もかけて仕事に行って、しかも交通費2000円自腹で払って、プラス15分もサービス残業しなきゃならないのだろう・・交通費を引いたら日給6500円くらいにしかならないじゃないか!
「それはあんたが日雇いだからだよ」そんな声が聞こえてきそうではありますが、「なにを言っているのか!」と私は声を大にして言いたい! 「日雇いだからといってどうしてサービス残業しなければいけないのか!」と。
で、私は派遣会社にこう言ったのです。「いつもお仕事を紹介してくれてありがとうございます。しかしいま行っております現場はそういうわけで15分のサービス残業が義務的・強制的に課されるのです。べつに朝礼中の細かい規則・・たとえば手を後ろに組んでいなければならないとか、腕まくり禁止とか、『オス!』と大声で挨拶しなければならない・・をいやだと申すのではありません(事実、そのゼネコンはそういうスタイルなのです。体育会系というか何というか・・ある同僚は『刑務所みたいだ』と評しましたが・・彼はクサい飯を食べたご経験がおありなのでしょうか?)。
・・ともかくも15分のぶん、残業手当は出していただけないでしょうか? 無理だというなら、もうその現場に行く気はありません。その現場以外に仕事が無いんだとしても結構ですから」。そう、私は言ったのです。ハブられ上等。
「はぁ。分かりました検討してみます」と派遣会社の方は言いました。
そして私は勝ち取ったのです、600円もの残業手当を。・・私はそんなにもらえるとはまったく期待していませんでした。時給がだいたい1000円ですから、その4分の1の250円くらいかな〜と想像しておりました。
600円!
小さくない額だと思います。もしそれが200円とかでも構いませんでした。金額の問題ではありません。社会の品性の問題です。労働者を大切に扱うかどうか、という社会の品性の問題。自分の所属している派遣会社のみの、一企業の問題だけではありません、結局、そうした企業が増えていくこと・増やしていくことが働きやすい世の中へと繋がっていくわけですから。
『たかが600円かもしれない。しかし人類にとっては大きな一歩である』。月に降り立った(とされる)宇宙飛行士ならそう言うかもしれません。
・・それ以降、私への仕事の依頼はパタリと消えました(わずかに一回あったのみ)。残業手当を要求したせいなのか、それとも単なる仕事の少なさのためなのかは分かりませんが。
たとえ前者だとしても、私は自分の行動に後悔はしておりません。アメリカの黒人は、どうして今のような権利を勝ち取ったのでしょうか? 女性はどうして選挙で投票できるようになったのでしょうか? ・・それは本人たちが声を上げたからです。納得いかないことに対し、泣き寝入りをせず、主張したからです。
私の登録しております派遣会社には、事務所にこんな張り紙がしてあります。
『このブース内で、過度な金銭の要求、大声を出すなどの威圧的行為、恐喝行為を働いた場合、すみやかに原宿警察署へ通報します。当社は健全なアルバイトの提供を目的としており、迷惑行為につきましては断固たる処置をとる所存です』。
何があったのかは分かりませんが、おそらく『マージンをいくら取ってるか明らかにせよ』『工事現場までの交通費がなぜ自己負担なのか』という要求、問いかけがあったものと推測します。
私はそんな人たち、泣き寝入りをしない人たちの側に立ちます。
人間を大切にしない国、人間を『経済成長のコマ』としてしか捉えない世界に未来なし。
新しい未来よ、来たれ!(つーかそれは自分たちの手で勝ち取るもの)