映画学校時代の同級生であるプロデューサーの都鳥拓也・伸也兄弟から案内をもらい、中野まで試写を観に行ってきた。
監督は小池征人。前作『いのちの作法』と同様、岩手県の小さな共同体(今回は盛岡市にある児童養護施設)に密着して撮りあげた記録映画だ。
入居児童の7割を占めるという被虐待児、子どもたちの親・親族、施設のスタッフそれぞれに話を訊き、その交流や葛藤を見つめている。
「なんだか暗そう」とか「おカタイ文化映画っぽくて興味が湧かない」と思っている人にこそ是非観てもらいたい。
ステレオタイプな先入観を覆す子どもたちの奔放さ、強さに打ちのめされるはずだから。
「大人になったら自分を捨てた母親をさがしたい」と語る女の子、親から兄へ、そして自分へとつらなる暴力の連鎖を断ち切らねばならないと思い悩む男の子、突然キャメラマンをスリッパで叩き始める男の子。
作り手の意図をも踏み越えて、観る者になにかを突き付ける、力のある映画だ。
スクリーン上映のみを前提として成立した作品のため、ソフト化・TV放映の予定はいっさいないとのこと。
東京ほかロードショー公開は11月から。
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