カザフスタンは、ソ連が崩壊して独立国となったため
一つの国として突如成立したという背景があります。
しかも石油の高騰で一気に経済が成長したため、
この勢いに乗って豊かな生活をしている人々と
それに取り残された人々との格差が大きいようです。
そんな国に住む、別の民族である3人の子供達。
彼等の生活に、今のカザフがわかりやすく描かれていましたが、
絶望的な生き方は、観ていて胸が苦しくなりました。
住んでいる廃屋は、マンションやビルの建設現場の一角。
隣接した土地には
既に完成したきれいな高層ビルが建ち並んでいますが、
同じ国とは思えないほど、別世界です。
そして、タイトルにもあるように一番のテーマは「ウイグル人」の存在。
現在ウイグルは中国の統治下にあり、アユブも、アユブの両親も、
ウイグル人として不遇な扱いを受けているよう。。。
中国も、日本や欧州に支配されていた過去があるなら
その不条理さを理解していないはずはないと思うんだけど
時代が変わっても、弱者の割合というのは変わらないものなのですね。
本当に哀しくなってしまいます。
母の幻を見て、破滅と希望を重ね合わせることで
かろうじてですが、マーシャは笑うことができたけど、
アユブは感情を一切表に出さないままです。
言いたいことが何一つ言えないウイグル人の辛い立場そのものを
表しているようでした。
本作を鑑賞するにあたり
映画を撮るに至った流れや、監督のメッセージが書かれた
資料をいただきましたが、
ウイグルが名ばかりの自治区であったことが改めてわかります。
同じアジアに生きているのに、ウイグルの人々の現状を知らずにいる
私のような人はどのくらいいるのかしら。。。
そして、カザフの高層ビルに住んでいる人々は、
自分たちの住まいを作った一人であろう
廃屋にいる子供達のことを知っているのか、聞いてみたくなりました。