2009-06-28

「MW -ムウ-」、手塚治虫の原作とは違うけれど このエントリーを含むはてなブックマーク 

物語は直ぐにヒートアップ、
冒頭から身代金強奪のトリックで楽しませてくれます。
少々のトリックなら何だ、この程度かと、
見破れそうなトリックの作品が多い中、幾重もの策を張り巡らし、
その上、さらにもうひと押しして、見事にジュラルミンの
アタッシュケースに入った現生を強奪しちゃうところは
感心どころか、感動ものでした。
そして、今の風潮をあざ笑うかのように
お金さえ奪えば事件の関心は薄れ、
脅迫されていた人の事など忘れちゃうのを利用して
本当の目的を遂げるあたりは知能犯です。
話が単調にならないように新聞記者の話もさり気なく織り交ぜ、
事件の核心に迫っていきます。

この事件を引き起こす実行犯のモンスターは玉木宏さんが演じます。
ボクサーのような凄まじい減量で
完璧なまでに引き締まった身体を作り上げていました。
そのお陰で、良い人というイメージを完全に払拭し、
「悪の権化」の凄みを醸し出し、
主人公、結城美智雄というモンスターになりきるのに成功していました。
彼と同郷の苦悶する神父様は山田孝之さんです。
独特の苦悶する姿は流石の演技です。
彼を追い詰める刑事役には、石橋凌さん、御歳だというのに
たいのシーンでは、ほんと感心なまでよく走ってました。
女っけの少ないこの作品で活躍する女性新聞記者には
石田ゆり子さんです。
彼女の演技は久々に観ました。
清純派だった彼女も、意外な役柄演じていました。
(といって、残念ながら色っぽい役どころではありません)

最後の決着、これは賛否両論あるでしょう。
もともとの手塚治虫さんの原作はもっと生々しいお話で、
結城と賀来との関係も純情風に焼きなおしていますし、
あの結末に、私としてはかなり納得していませんが、
でも、クオリティの高い楽しい129分間を、堪能させて頂きました。

有難うございます、って面白かった映画には、感謝したくなります。

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カサキ ケイ ♂

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“映画が元気の源、年間鑑賞本数200本を目標にしています。”