ブログ「だめ日記」から
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『ハリウッド監督学入門』がおもしろすぎる。『リング』『L change the World』の中田秀夫監督が、ハリウッドで『ザ・リング2』を撮り終えてから、一緒に仕事をした関係者に「ハリウッドの映画づくりってどうなのよ」と聞いてまわる、という構成のドキュメンタリー。一瀬隆重プロデューサーや、清水崇監督も出てくる。
プロデューサー、脚本家、作曲家などいろんな人が話をするんだけど、みんな「いやまあ、そりゃね。ただハリウッドっていうのはさ…」とか「まあそうね、でもね…」みたいなトーンで話すので、ああ中田監督がグチ気味にインタビュー取ってるんだな、ということがわかっておもしろい。
この映画で語られる“ハリウッド方式”の、根底にある考え方は明快だ。選択肢は多い方が良い。とにかく良いものを作りたい。だいたいこのふたつのことをみんなが言う。製作決定のゴーサインが出るまでに異常なほどの時間がかかるのも、キャストから脚本家からなるべく多くの選択肢で考えたいから。撮影時にあらゆる角度からカメラを回すのも、編集の際にベストショットを選びたいから。
もちろんこれらには、総意をまとめる、言質を取っておく、根回しをする、といった細かい政治的立ち回りがからんでいる。
おおーと思ったのは、一瀬プロデューサーのコメントです。テスト試写を重ねるのは、ただ観客におもねるためではない。観客の反応からは何かしら学ぶところがあって、そこで何を学べるかが大事なんだと。これは他の人も言っていた。
とにかく、この映画に出てくるハリウッドのクリエイターは、みんなきちんと映画に向き合っていて、前向きで頭が良く、自分なりの方法論をクリアーに述べる。それはまあ、自己主張したいときに、“なぜならこれがベストだからだ”という揺るぎない信念を根拠に据えることで、格好がつくからなのかもしれません。
普段の仕事にも役立つ、勉強になることの多い映画でした。