音楽の話ではない。
どうも最近、耳鳴りがしているようなのだ。
そう話すと、ある音楽家に「何の音」と尋ねられ、さすが音楽家と感心した。
で、何の音かとよーく聴いてみると、高音すぎて何の音だかわからない。
たぶん、3つぐらいの音が鳴っているような。
シ・ミ・ソの和音(もっとたくさんの音かも)が、
ときどきうなりながら鳴っているような。
金属音みたいな、キーン、シーンという感じの音が、ずーっと鳴っている。
ワタシはもしかして蝙蝠みたく超音波が聴こえるのでは?と思ったが(お気楽なヤツ)、
耳栓しても聴こえる、つーか、耳栓したら一層よく聴こえるので、
外で鳴っている音ではなさそうだ。
不快な音ではないのよ。
どちらかというと、気持ちいい。
つい聴きほれてしまう…ことはないが、ヤな感じは全然しない。
コンサートなんかで、すごーく静かになると、そりゃもうよく聴こえる。
他の人の耳鳴りを聴いたことがないから、耳鳴りが普通どんなものか、よくわからない。
ガキの頃、眼科で目を洗浄してもらうときに、
ほっぺたに金属製の水を受ける容器を押し付けて、
水が流れる音が骨伝導で聴こえる、
あの流水音が好きだったのだが、
それとちょっと似ているかもしんまい。
でも、そういえば、静かな時って、こういうの聴こえるよね。
聴こえない?
昔、無音室に入って、耳が負圧になったような、
キーンとつきささるよう音が聴こえた。
私はそれを、静寂の、無音の音だと思ってた。
完全な無音状態でそういう音が聴こえるのは、生理的にふつうのことらしいが、
今、無音じゃなくて聴こえるこの音は、なんなんだろう?
病院に行けばいいんだけどさ。
いや、つい、ぐぐっと沈潜して、聴きいってしまうときがあるので、
聴こえているのがこういう音で、声とかじゃなくてよかったなーと、思うんだけどさ。
イクオ(『奇蹟』by 中上健次)みたく、声に聴き入ってしまうのは、さすがにまずかろう。
『音、沈黙と測りあえるほどに』じゃなくて、
『沈黙、音と渡りあえるほどに』って感じです、武満さん。
きいいいいいいん。