2007年にアメリカで公開され、当時日本でも若干話題になった「知る人ぞ知る作品」がようやく日本で公開される。
2004年から05年に撮影されたそうだが、トウモロコシを取り巻く環境は、その前後で激変している。しかしながらこの映画は、そのトウモロコシ狂乱の根幹を見事に見抜いているし、その着眼点においても注目されるべきだろう。
トウモロコシに関する問題は幾つもあり、その断片ばかりを聞きかじっているような感じがしている。が、この映画は主要な問題点を見事に拾い上げてゆく。助成金、遺伝子組換え、化学肥料、畜産飼料、高果糖液糖、バイオマス廃棄物、などなど。90分の映画としては少々情報量が多すぎて、鑑賞後に図表を書いて整理してしまったほど。けれど、整理して見るとちゃんと問題の関連を考えるだけの情報が織り込まれていたのだとわかる。
それでいながら、堅苦しいだけのドキュメンタリー映画ではない。人形をコマ撮りして作った解説や、二人の青年のルーツを調べて彼らの曽祖父達が行っていた農業と現代農業とを比較するなど、分かり易さと奥行きのある映画になっている。
ともかく、「チープ・フード」は食べたくないと思った。