2009-02-19

映画『江分利満氏の優雅な生活』他 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 日曜日は午前中に寝て起きたのは夜。翌月曜日は明け方ゴハンを食べてから、三割引セールを利用して買った、『もののけ姫』(ジプリ、1997年)と『超時空要塞マクロスーー愛・おぼえていますかーー』(スタジオぬえ、84年)を観た後、夕方まで公募の書類を観ながら(つまり、腕を組んで唸っているだけで、殆ど書けずに…)ウダウダと過ごす。

 『もののけ』はナウシカの漫画版を想わせる、一筋縄ではいかない内容に考えさせられたけど(ジプリなので、作画がキレイなのはもう当たり前)、石田ゆり子の演技はちょっと…。やっぱりプロの声優さんを使うべきではないかと…。YouTubeで一度観たことがある『マクロス』は、物語の構成も結構よく考えられているし、84年公開のものとは思えない作画のキレイさに見とれた。子どもの頃テレビシリーズを観ていた際には、輝が超可愛い(笑)リン・ミンメイを振って、地味な感じのする早瀬さんを選ぶのが理解出来なかったけれど、今映画版を観るとその点もシックリきた。上記セールを利用して、『ナウシカ』と『うる星やつら2・ビューティフルドリーマー』と共に、84年のアニメ映画の傑作と評される『銀河鉄道の夜』のDVDも買ったので、楽しみ。

 火曜日は夕方カタログハウスに腰サポーターを買いに行った後、翌水曜日の朝方四時までかけて公募の書類を書き上げてから食事。朝一で郵便局に出して掃除をした後、山口瞳の同名作品を映画化した『江分利満氏の優雅な生活』(監督:岡本喜八、出演:小林桂樹、新珠三千代、東野英治郎他、1963年)を観に、ラピュタ阿佐ヶ谷へ。ちょっと寒が戻ったとは言え、日差しはもう春で、中野までのウォーキングが心地よい。

 上映20分前にラピュタへ到着。一番前の真ん中付近の席を取る。実は五十席弱の映画館が、イッパイになって入れないのではないかと危惧していたのだが、あまり入りはよくなかったよう。

 個人的に昔の邦画って、正直、いろんな面で感覚が古過ぎるし、ひたすらウエットで、お金を払って何度も観たいとは思わないものが多いんだけど、これは違った。

 最初のうちは小林演じるウダツの上がらない中年太りの江分利が、勤務時間終了後、毎晩前後不覚になるほど酒を呑み、テラスハウス風の社宅でのサラリーマン生活を何とかやり過ごしている様子がユーモラスに描かれているだけで、笑いながらも何だかなあと思いながら観ていた。しかし、酩酊時の約束で書かなくならなくなった、自伝的な私小説を映像化した、江分利の家族への複雑な思いや実体験に根ざした人生観や歴史観が展開されていく辺りからは思わず見入ってしまう。

 強く印象に残ったのは、(一)母が亡くなり、父が作った莫大な借金を負って、老父と妻子を養わなければならないという現実に内心打ちのめされた主人公が、実家に下宿している日系人相手に、「自分は未だ三十歳なんだから、何とかやれる…」とつたない英語を織り交ぜながら、自らに言い聞かせるように語った後、涙するシーン、(二)週に一度、川崎の社宅から、渋谷の病院へと、さんざん迷惑をかけられた、或る種の厄介者の元実業家の老父を連れていきながら吐露される、戦争と、相変わらず戦争で儲ける産業界への嫌悪感、(三)直木賞受賞後明け方まで無理矢理付き合わされた、若手社員を前に、兵隊としてフィリピンへ派遣され戦死した自分と同世代の若者が持っていたという、恋人からの手紙を読みながら、数限りない同世代の彼女等/彼等の無念に思いを馳せて嗚咽するシーン。

 1998年に建てられたラピュタ阿佐ヶ谷は、『天空の城ラピュタ』の「天空の城」をイメージしたという、こじんまりとしてはいるものの個性的な建物。陽当たりのいい一階のサロンは本が並び、安価に珈琲や紅茶も飲めていい感じ。残念な点は、トイレが寒々とした感じで男女共同だということ。スペース的に厳しい制約もあろうが、これは性急にどうにかして欲しい。

 帰りはのんびり寄り道をしながら、これからのことを思いながらウォーキングで帰宅。自分も未だ(じゃないけど)三十七歳、何とかやれる…のか(苦笑)。

キーワード:


コメント(0)


知世(Chise)

ゲストブロガー

知世(Chise)

“ ”