「彼女の名はサビーヌ」は「仕立て屋の恋」の主演女優サンドリーヌ・ボネールが
自閉症の妹を25年の歳月をかけて撮ったドキュメンタリー映画で、彼女の初監督作品です。
観終わってまず思ったのは、「今日この映画を観て良かった・・」という事です。
私が最初この作品を観たいと思ったのは、私自身に20数年前に精神を病んだ義妹がいて、
義妹は高校卒業後は一度も社会に出ることも無く、入院している時以外はほとんど家族との
時間だけを過ごしているからです。
サンドリーヌ・ボネールがサビーヌとどういった日々を過ごしているのかにとても興味が
ありました。
25年間の映像の力は大きかったです。
観ているだけで胸が締めつけられるものがありました。
25年前の少し変わっているところもあるけれど、笑顔が溢れ、家族と一緒にアメリカ旅行へ
行ったり海で遊んでいる姿と、現在の乱暴になったり、太り過ぎてしまった姿を観た時には
その変貌ぶりが私の義妹と全く同じであるのに驚きました。
サンドリーヌ・ボネール監督はインタビューの中で「自閉症について皆にもっと知ってもらいたかったから撮った」と伝えています。
「そしてフランスにおいては自閉症のケア施設が足りない」事なども訴えたかったのだと。
同じ精神の病を抱える家族としての感想は、「時折暴力的になったり、よだれを垂らしたり、暴れたり・・・等々するけれど、その事を家族がさらりと受け止めていて、何でも無いこと
のように普通に撮っている事が嬉しい」と思いました。
「明日も明後日もまた会いに来てくれる?」とサビーヌが姉のサンドリーヌに尋ねるシーンが何度もあります。
本当はサビーヌが来てくれる、あるいは頼めば来てくれると信じているから言える言葉なんだなあ、そういう(サンドリーヌのような)人がいるだけ幸せなんだなあ・・と思ったら、
サビーヌは幸せな気もして、でもそういう言葉を発せずにいられないサビーヌが可哀想で、
涙がボロボロでした。
最後に・・
サンドリーヌはフィルムの中で一貫してサビーヌに親切ですが、時には腹を立てたり、
悔しくて泣いたり・・ともっと感情的になる部分があってもいいような気もしました。
裏にはどれだけの涙があるのかな・・・と思いながらこの映画を観ていました。
多くの方にご覧になっていただきたい映画です。