東京ミッドタウンタワー34FにあるGAGA試写室での試写会鑑賞。
何とも景色の素晴らしい場所。東京タワーを見下ろし、近くに六本木ヒルズも見える。
夜景がまた、言葉では言い表せないくらいステキ。
さて、今日の作品は、11月公開予定のジュリアン・ムーア主演「ブラインドネス」。
初めて予告編を見たときから、衝撃的な内容に気にせずにはいられなかった作品。
内容もさることながら、「帰らない日々」のマーク・ラファロ、昨日の「僕らのミライへ逆回転」でも健在振りをみせてくれたダニー・グローヴァー、「バベル」のガエル・ガルシア・ベルナルら豪華共演陣に、伊勢谷友介さん、木村佳乃さんの日本人俳優が出ていることも、注目の理由。
伊勢谷さんは、「事件勃発」の起点となる重要な役どころ。
木村さんは、その妻役。
お2人とも、文字通り体当たりで迫真の演技を見せてくれていました。
伊勢谷さんはなかなかに(と僕が言える立場ではないが)流暢な英語の台詞をこなしていた。
木村さんは、やっぱり美しいながらも演技派女優。
辛い立場でありながら、体中、そして表情での演技が見事。
作品の内容は、ある日、謎の伝染病?で、人類が次々と目の前が真っ白になって失明するという衝撃的なもの。
そんな中で、ただ一人「目が見える」ジュリアンが、夫やその患者だったりした「仲間」を守りながら、五里霧中の展開の中を必死に生き抜くというもの。
伝染病は驚くべき速さで世界中に広がっていき、有効な治療法を見つけることも出来ず、学者や政府関係者までもが感染してしまうと言う錯乱の事態に。
政府がとった政策は強制隔離。
次々と収容所に集められていく人々。
目を白い洪水にやられたように失明した人々の生活は、荒廃し、衛生面でも目を覆いたくなるような惨状へと落ち込んでいく。
軍によって厳しく監視された収容所では、食料や薬品の確保もままならず、収容された感染者達は次第に苛立ちを隠せなくなり、秩序は崩壊し、銃の力で支配しようとする輩まで現れ、姿が見えないのをいいことに、欲望やおぞましい人間の本性を剥き出しにしていく。。。
そんな中で人間の尊厳を奪われ、ついには命を奪われる者も出てくる中で、主人公は惨状に耐え切れず反撃を決意する。
そして……真っ白な闇に包まれた者同士の戦争が起き、やがては、監視者達も感染したのか、ついに収容所から解放されることになるのだが、世の中の荒み方は想像を絶するものであった。
果たして、こんな世界に本当の光は差し込んでくれるのか?希望は見えてくるのか?
全世界が真っ白な闇に包まれた人々で溢れ、目が見えず、相手にも自分が見えないが故に、そして尋常でない事態に置かれたが故に精神的にも参ってしまい、醜い本性を剥き出しにしてしまう。人間の本性とは、一体何なのだろう。
自分の欲望を満たすことを第一に考えてしまう人が多いのだろうか。
権力を求め、他人を思い通りに弄びたくなってしまうのだろうか。
モノが溢れかえり、金銭が崇拝されるかのような現代社会。
表面的な豊かさ、富裕を求める人が多いのは現実かもしれない。
そして、人々もまた、お互いの表面的なところばかりを気にして、目にするもので相手を判断してしまっているのかもしれない。
しかし、実は本当に大事なことは見えないところにこそあるんだ。
名前も外見も関係なしに、内面そのものが、相手の正体であることに気付けている人がどれだけいるだろうか?
そして、その内面こそが人々が磨かなければならない最も重要なポイントであり、人々を判断する上でも一番見抜かなければならないところ。
内面の豊かさこそが、本当の豊かさなのだ。
そういうことを気付かせてくれる作品。
独特の映像美と、効果的に使われる白い闇と黒い闇によって、深い恐怖も感じさせられる。
しかし、人間が本性を剥き出しにしたとき、実はその様子が「見えない」ことよりも「見える」事の方が、より一層恐怖を感じるのではないか、ということにも気付かされる。
できるだけ、自分の、相手の、人々の醜い側面ってのは、見たくないものだから。
モノ社会、表面社会の現代の問題点を見直し、まずは人として内面を磨いていこう。
そして、相手と接するときも、内面同士のコミュニケーションを大事にしよう。
内面同士のコミュニケーションで得られた信頼の絆は解けることがない。
そのことを強く思い知らされた作品。