2008-09-13

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主人公の絵画探偵ハロルド・スミス氏は目を引く容貌です。黒く丸いアイパッ
チ、きっちりした紳士の着こなし、長年冒されている皮膚ガンによる義鼻。ド
キュメンタリーではなくフィクションの作品の主人公のよう。そんなスミス氏が
盗まれたフェルメールの「合奏」を追います。
作品はスミス氏によるインタビューと、「合奏」が所蔵されていた個人美術館の
設立者イザベラとバイヤーの間の手紙の読み上げとが、交互に綴られます。

インタビューでは、何かきな臭い人物たちの証言に、淡々とカメラが回ります。
もう少しドラマ仕立てでもよいのではと思うくらいでしたが、犯人探しが目的で
はなく、「合奏」がもう一度美術館で大勢の人の目を愉しませてくれることを切
にに願った監督の真摯な姿勢からなのでしょう。そう、インタビューに応じる、
作品を取り戻したいと願う人々の、心からのフェルメール賛美と、盗難事件がい
かに重大な犯罪と莫大な文化の損失かとの訴えが、心を打ちます。犯人に罰を下
すためではない、ただ純粋にあの美しい静謐な絵画がまた人々の心を震わせてく
れることを願って。

イザベラの手紙からは、イザベラの自由な精神と超一級品の作品たちへの思いが
伝わってきます。ボストンにあるというこの美術館を一度訪れてみたくなりました。

全体的には、単調な印象が拭えず、また、絵画作品の紹介や解説もあまりなかっ
たので、絵画に興味がある私としてはちょっと物足りない作品でした。

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ほたる

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ほたる