【速攻レビュー版です】
だめだ、眠れやしない。
いい作品に出逢うと、インプットが激し過ぎるせいか。
さらなるインプットを求めてそのまま続けて映画を何本も見たり(ジョニー5みたいな感じ)。
逆に猛烈なアウトプット欲求で、なにか書きたくなって、プロットや設定を書いたり、眠れないのである。
というわけで、今回の犯人は、プロデュース公演『ナミヤ雑貨店の奇蹟』@さよならBRAVA!だ。
「心配しないで。私は空の上からみんなの幸せを祈ってるから。」
もうオープニングから泣いちゃうぞ。
かなり大笑いもしたけど。
はじめに家柄の違いから無理矢理別れさせられることになる、工員の浪矢雄治とお嬢様女学生の皆月暁子……。
その後、雄治は東京を離れて前橋で「ナミヤ雑貨店」を営み、暁子は生涯独身を貫くのだが、物語はそれからさらに33年後の現代ではじまる。
現代の「ナミヤ雑貨店」は、店主を失い廃屋化。
そこに児童養護施設「丸光園」で育った男3人組が、強盗して警察から逃れるために夜中転がり込むのだな。
で、電車の始発まで数時間、息をひそめて過ごそうとしたところで、シャッターの郵便ポストに突然「手紙」が投げ込まれる。
それが、ペンネーム「魚屋ミュージシャン」から届いた相談の手紙で「父親が倒れた。自分はミュージシャンをこのまま目指すべきか、あきらめて実家に戻るべきか」というものだった。
なんだかんだと悪いヤツじゃない3人は、便せんに手紙を書いて返事を出す。まぁ、細かくは書けないけど、ここの展開も面白い。手書きの手紙なのに、LINE並みの早さで手紙のやりとりが続いていく……(理由はオチまでに判明します)。
ちなみに物語のツカミで紹介されるのだが、雄治は晩年「ナミヤ雑貨店」店主として、さまざまな相談に“手紙”というカタチで回答する生活を楽しんでいた(のちのちは「これでよかったのか」とも悩む)。
しかし、この夜に限って、そんな手紙が現代の男3人組のもとに届いていたというのだ。
まぁ、それが“タイムトラベラー・ファンタジー”と呼ばれるゆえんである。
また、相談の手紙は、他にもいろいろと出てくる。
シングルマザーになるかどうかで悩む29歳女性や経済的独立を目指して“お水”の世界にいこうと考えるOLなど。
上川さんの出番ですよ!
それにあわせて、前出の「魚屋ミュージシャン」のその後の人生や、彼と関わった人々の人生も描かれていくあたりは“オムニバス形式”というか“グランドホテル形式”で幅広く、それがテンポ良く描かれて、あっという間の2時間。
後ろの席の人が終演後に「ちょっと複雑しすぎて頭痛いな」などと話していたが、ラストに向けて伏線が一気に回収されていく展開はむしろ爽快。
前半はひとつひとつの登場人物たちのエピソードに泣き笑い。
後半は、それぞれがひとつひとつ、つながっていく。
まだ公演中なので、ネタバレは来週として……。
そのなか、東野圭吾原作なんだけど、これはやはりいつもの演劇集団キャラメルボックスの舞台なのだな。
絆(キズナ)だ。
よくミステリー小説の評論なんかで「点と点が線になっていく……」なんて聞くけど。
この物語は、はじめに別れたふたりをはじめ、登場人物それぞれの人生のひとつひとつが実は“見えない線”でつながっていて、それぞれが実は大きな力を持っているんじゃないかと体感するハナシ。
問題はそれに気づくか気づかないか。
それは、あたしら等身大の物語ってことで。
その“見えない線”を“絆”と呼んでもいい。
それと、この物語は“ファンタジー”とも呼ばれるみたいだけど。
やっぱファンタジーは「メルヘン」と「現実」の向こうにあるものなので、ウソではない。より現実的なんだと感じてもいいんじゃないかな。
ほんで、ラストの拍手の音と振動の伝わり方は、まさに波打つような感じで、鳥肌立ちものでした(ひさひざ)。
これって、BRAVA!の場内設計のせいか分からないけど、ひさひざに拍手の渦というのを実感。新神戸オリエンタル劇場でもサンケイホールブリーゼでもここ数年味わったことないかも。
残り3公演!
演劇集団キャラメルボックス初演版より泣けるらしいので、初演版見ている人こそ!ですな。
また来週まともな頭でネタバレで感想書かせてくださいませ。
つづく。
■『ナミヤ雑貨店の奇蹟』舞台映像が到着!
大阪公演の人はラッキー、ダイジェスト映像ありますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=AzxFF9LUeLk
■関連ブログ
【大阪】東野圭吾原作の舞台『ナミヤ雑貨店の奇蹟』いよいよ終幕へ
http://www.webdice.jp/diary/detail/12470/