帰国の飛行機で2本の邦画を観てしまう。
まず,1本目は『未来予測図』
柳下毅一郎氏をして主演の松下奈緒に対して「死ね! 今すぐ死ね! この映画に限っては難病解禁!」と言わしめし,さらにこれがデビューの蝶野博監督に対しては「たとえ念願の本編を取るチャンスだったとしても、企画を断る勇気を持っていただきたい、と思った。そしてぼくには、こんな映画は見に行かない勇気が欲しかった」と忠告と反省を行った映画である。
そしてその問題作を観ると,まだ,それが優しさに溢れた批評だということを認識する。大学時代二人は寝てないの?路上のギター弾きは何処から来たの?スペインに行ったり帰ったりするだけの何も展開しない双六のようなストーリーに頭がくらくらしてきた。
2本目は『海猿』
彼女の職業は『未来予測図』と同じ女性誌編集者。酔っぱらってホテルに海猿と、それで何もない。訓練生は海で遭難者を見つけたと思っていたら次のカットの病院で死んでいた。
頼むから性と死をきちんと描いてくれ,でないと愛と生が描ける訳はない。
これが邦画なんだ。
非常に勉強になった。
卵が先か鶏が先か,もしこれらの映画がヒットしていたのなら,作り手が観客を馬鹿にしているのかそれとも観客が馬鹿なのか。それとも作り手が....
これらを製作し上映した国へと飛行機は向かっている。
大変な国で映画の仕事をしているのだと自分に改めて言い聞かせる。