ryuさんの日記
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2013
2月
13
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『ゼロ・ダーク・サーティ』クロスレビュー:『永遠の平和のために』
前作『ハート・ロッカー』を見れば明らかなように、キャスリン・ビグロー監督は啓蒙思想家である。『人間学』ではなく『映画』により人々を導かんとする、現代のカントである。 9.11テロ後のCIA。若く優秀な女性分析官である主人公マヤが、憎きテロ組織の指導者オサマ・ビンラディンを追跡すべく最前線のパキスタンに配属されるところから物語は始まる。 冒頭から、アメリカの上院議員が抗議したほどの過激...
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2012
12月
04
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『砂漠でサーモン・フィッシング』クロスレビュー:シャイフの挑戦
一にも二にも、シャイフたる彼のための映画である。 『砂漠でサーモンフィッシング』と謳ってはいるがこの映画、実のところ砂漠も鮭もフィッシングもどうでもいい。なんでもいいのである。大切なのは大富豪、族長として登場する彼、アムール・ワケド演じるシャイフである。『シャイフが砂漠でフィッシング』である。 この映画を見ている間、私は終始頭の上にクエスチョンマークを浮かべていた。『ご都合主義』だ...
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2012
11月
06
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『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』クロスレビュー:『芸術家』について
この映画の感想を述べるにあたってまず私たちが考えておかなければならないことは、芸術家とは何者なのか、どうそこにあるべき人々なのかということだと思う。斬新な映像表現やら並び替えられた時系列トリック等について賛否を送るのは評論家の仕事だ。 本作『チキンとプラム』の主人公、ナセル・アリは音楽家である。非凡な才能を持ったヴァイオリニストであり、その肩書きから私たちが思い描くであろうおよそ全ての要...
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