rose_chocolatさんの日記
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2012
10月
01
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『思秋期』クロスレビュー:心を癒すひと
行き場のない怒りを抱えながら暮らする初老の男と、誰にも言えない悩みを抱える中年の女がある日出会う。 男は前妻をティラノサウルスと呼び、愛を伝えることが出来なかったことを悔やんで暴力的な振る舞いに逃げ、そして女は人知れず日々の苦しみにひたすら耐えて、誰にも打ち明けることができない秘密を持ちながら生きていた。 恐らく人生なんて、そのまま過ぎて行くのだろう。そう漠然と思い込んでいた二人の人生...
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2012
8月
12
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『わたしたちの宣戦布告』クロスレビュー:難題を受け止める底知れぬパワー
従来の日本人の感覚だと「子が難病に侵された」ならば、全てを犠牲にして子の看病に尽くすことが美徳とされるし、そうでない親は非難されるに違いない。何もかも投げ出して、全てを看病に捧げること、そのこと自体は素晴らしいことだが、一切の寄り道も息抜きも許さない世間の目線に、当事者の親たちは果たして耐えられているのだろうか。 ここに登場するロメオとジュリエットは、そんな感覚とはかなり違う。 彼らは...
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2012
7月
06
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『聴こえてる、ふりをしただけ』クロスレビュー:大人になるって
11歳というのは、子どもが子どもでいられるギリギリの年齢なのかもしれない。 目に見えないことを信じてみたり、言われたことを素直に聞ける一方で、保身のためには自分を優先させてしまうという大人の悪い面もそろそろ引き継いでしまうような年齢。 しかしながら判断力は未完成だからいろいろと手探りで周囲との関係を取らないといけない。そのアンバランスさゆえに、この物語は生まれている。 母の突然の死は...
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2012
5月
17
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『ヴィダル・サスーン』クロスレビュー:笑顔の裏で努力する天才
奇しくも本年5月9日に逝去したヴィダル・サスーン。本作を観たならば、撮影当時82歳で実にかくしゃくと歩き、そしてセクシーでありスタイリッシュでもあり、今もなお世界中にその名をとどろかせている氏が亡くなったとは思えないに違いない。映画の中でも、それほど氏の存在は生き生きとしており、とめどなく次の構想を話す姿はまるで修行を始めた20代の青年のようだ。 不遇な少年時代を跳ね返したかのような成功。その裏...
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