2012-10-01

『思秋期』クロスレビュー:心を癒すひと このエントリーを含むはてなブックマーク 

行き場のない怒りを抱えながら暮らする初老の男と、誰にも言えない悩みを抱える中年の女がある日出会う。
男は前妻をティラノサウルスと呼び、愛を伝えることが出来なかったことを悔やんで暴力的な振る舞いに逃げ、そして女は人知れず日々の苦しみにひたすら耐えて、誰にも打ち明けることができない秘密を持ちながら生きていた。

恐らく人生なんて、そのまま過ぎて行くのだろう。そう漠然と思い込んでいた二人の人生が交差する時、頑なに自分を守っていた殻が取れて行く。
自分の秘密、これだけは人に知られたくないこと。でもこのまま自分ひとりの胸にしまって生きて行くには辛すぎる。その秘密を共有してもいいと思える相手に出会えたら、そう願っても現実にはなかなかいないのではないだろうか。
ジョセフとハンナは、その数少ない偶然の中で、互いを必要とすることに気が付いたのだ。

心が動き出した時に降りかかる重大な出来事にも負けずに、互いを信じたいという希望が伝わってくる。それはどうしてもお互いにこの人でなければ癒されないという確信にも似たものなのだろう。
人と人との出会いとはそんなものなのかもしれない。出会いが人を変えて行く。
会うたびに美しく、そして揺るぎないものになっていく二人を見ていると、確信にも似たものが観客にも芽生えてくるのではないだろうか。
それは人生の半分を終えて、酸いも甘いも経験した大人だからこそわかる関係なのである。

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rose_chocolat

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