NAOさんの日記
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2013
1月
31
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『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』クロスレビュー:廻る、廻る、メリーゴーランドに身を委ねての169分
最初に白状してしまうと、インド映画には素人だ。テンション高くて、長くて、疲れてしまうというイメージで、いかにもボリウッドムービーは飛行機でしか見た事がない。 そんな私から見たところ、この映画の肝は勢いなんだなと感じる。ジャンル的には、歌に踊りに、笑い・ロマンス・サスペンスを169分に詰め放題。そんな派手な部分はもちろん、カメラのアングルは上から見下ろし、下から煽って、回ってみたりと。シツコイ...
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2011
10月
22
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『グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独』クロスレビュー:永遠の憧れ
亡くなってまもなく30年というのに、なお人気の高いグレン・グールド。音楽に疎い私にとっても、特別なピアニストである。うらやましいほどの指の動き、音楽の中で陶酔するような弾き方、そして若いころの美しさ。映像が多く残っていることも大きいだろう。 これまでのドキュメンタリーで使われた映像が多い中、この作品で新しいのは、グールドを個人的に知る人たちの言葉である。もし元恋人が目立ちたいがために登場し、...
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2010
10月
29
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『スプリング・フィーバー』クロスレビュー:各人が愛を求める
センセーショナルな同性愛シーンの話ばかりを耳にする本作であるが、上映前にロウ・イエ監督は「これは愛の物語だ」と述べた。 確かにそうなのだ。この作品をゲイ映画として避けていたら、もったいない。冒頭のベッドシーンは、異性愛者の私には強烈で、少しの嫌悪感を隠さなければいけなかったが、物語が進むにつれ、彼らの性別は全く気にならなくなった。彼らのひりひりした心、内に秘めた孤独感、狂おしいほどの欲望は、...
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2010
7月
08
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『ぼくのエリ 200歳の少女』クロスレビュー:ヴァンパイアの少女に恋した僕の選択
真っ白な雪に、赤い血飛沫が飛ぶ。繊細なのに、鋭く空気を切り裂く。クールなスタンスをとりつつ、心はほっこり温かくなる。相反する要素を内包するこの映画は、複雑な12歳の内面をそのまま表しているのかもしれない。少年少女の心の動きを繊細に描いたホラー。ジャンルの新鮮さもさることながら、映画を特別なものにしているのは、その映像・音楽・主演二人の演技である。 カメラは少年オスカーの生活を中心に追いかけて...
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2010
3月
25
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満島ひかりの大変身--『川の底からこんにちは』
社歌と満島ひかりの作業服姿に、興味津々だった作品です。 上京5年目、彼氏も妥協、嫌な仕事も我慢し、ストレスをいっぱいにため込んで生きている主人公。「私なんて中の下ですから」「でもそれって仕方ないですよね」と極端に悲観的な女の子を、満島ひかりが地味に演じています。それはもう共感を超えて、同情すら感じられます。しかし、やはり彼女は普通のOLではありませんでした。目をむいて「頑張るしかないんですか...
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2009
3月
08
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12年の愛の名残り--『失われた肌』
男女が横たわり、互いに見つめ合う。この美しいチラシ画像にひかれ、日本公開を楽しみにしていた作品である。監督は、『蜘蛛女のキス(1985)』『黄昏に燃えて(1987)』などで知られる巨匠ヘクトール・バベンコ監督。主演は若手演技派俳優ガエル・ガルシア・ベルナル。原作が、『ブエノスアイレスの夜(2001)』脚本のアラン・パウルスというのだから、期待が膨らむ。 ストーリーは、12年間連れ添った2人...
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2008
12月
31
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カフカ的不条理のコメディとしての表現--『罪とか罰とか』
これまで正統派女優としてキャリアを築いてきた、注目の16歳・成海璃子がコメディに初挑戦。そのメガホンを取るのは、演劇界で有名なケラリーノ・サンドロヴィッチである。はたして、「23歳の売れないグラビアアイドル」という役はどうなんだろう、鼻血を垂らさせてどうするんだ…と非常に心配だったが、成海璃子は体当たり演技を見せている。基本的には受動的・巻き込まれ型の役だが、端々で見せる表情にコメディエンヌとして...
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2008
9月
28
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至福のひととき-- 『ヴォイス・オブ・エンジェルズ』
今回は発売予定のDVDの中から、ヨーロッパの名門少年合唱団に関するドキュメンタリー「ヴォイス・オブ・エンジェルズ–少年合唱団の天使たち-」、そして彼らの声変わりという影の部分を描くフィクション「微熱」の2本が上映されました。 この「ヴォイス・オブ・エンジェルス」は、現在の合唱団員の練習風景と、少年合唱団成立の歴史を、交互に綴る形式をとっています。それはドキュメンタリーなのですが、彼らの美しい...
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2008
9月
15
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イザベラさんの思い--『消えたフェルメールを探して』
素晴らしい絵画というのは、私にとって心を豊かにする鑑賞物であり、先人が遺してくれた遺産と考えてきました。しかし、ある人にとっては投資対象、また他の人にとっては交渉のための道具かもしれないことを、この映画で気付かされました。 映画「消えたフェルメールを探して/ 絵画探偵ハロルド・スミス」が扱うのは、1990年にボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館で起こった、フェルメール「合奏」を...
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