『三月のライオン』© Film bandets
先ごろ、映画『さくら』(原作:西加奈子『さくら』(小学館刊)/出演:北村匠海、小松菜奈、吉沢亮)が公開となった矢崎仁司監督の92年の作品『三月のライオン』がデジタルリマスター版で劇場公開となる。
『三月のライオン』© Film bandets
本作は映画評論家トニー・レインズに「ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』以来の、近親相姦を描いた秀作」と言わしめ、アニエス・ヴァルダ、J.L.ゴダール、デレク・ジャーマンなど錚々たる監督らが手にしてきた「ベルギー王室主催ルイス・ブニュエル『黄金時代』賞」を受賞するなど世界各国の映画祭で話題を呼んだ作品で、日本公開時には10代の若者たちの熱狂的な支持を受け何度も見返す観客が続出。
『三月のライオン』© Film bandets
「映画は理解するものではなく、感じるものだと思っている」と監督の矢崎仁司が語るように、色、光、音、極端に少ないセリフは、言葉では言い表せないイメージを繊細に映し出し、公開から30年が経とうとしている現在でも、 RADWIMPS 野田洋次郎氏や杉咲花氏などが『三月のライオン』のファンであることを公言しており、世代を超えて支持されている。
※ ベルギー王室主催ルイス・ブニュエル「黄金時代」賞( PRIX DE L'AGE D'OR )とは
「詩的で独創的であり、大勢順応主義から意図的に逸脱している映画」を支援する目的で1955年に設立された、ベルギー王立シネマテーク、 ブリュッセル映画博物館によって授与される賞。初年度の受賞作品はアニエス・ヴァルダ監督『ラ・ポワント・クールト』。その他、ケネス・アンガー 監督 『快楽殿の創造』、マノエル・ド・オリヴェイラ 監督 『繻子の靴』、デレク・ジャーマン 監督 『エドワードⅡ』、タル・ベーラ 監督 『サタン・タンゴ』、アレクセイ・ゲルマン『フルスタリョフ、車を!」などが受賞している。
『三月のライオン』© Film bandets
映画『三月のライオン』
2021年2月26日(金)アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺、アップリンク京都ほか全国順次公開
兄と妹がいた。
妹は兄をとても愛していた。
いつか、兄の恋人になりたいと、心に願っていた。
ある日、兄が記憶を失った。
妹は、兄に恋人だと偽り、病院から連れ出した。
記憶喪失の兄は、恋人だという女と一緒に暮らし始めた。
そして、兄は恋人を愛した。
恋人の名はアイス。
氷の季節と花の季節の間に三月がある。
三月は、嵐の季節。
監督・脚本:矢崎仁司
脚本: 宮崎裕史、小野幸生
撮影監督:石井勲
音響:鈴木昭彦
美術:溝部秀二
記録:青木綾子
助監督:石井晋一
編集:高野隆一、小笠原義太郎
製作:西村隆
出演:趙方豪、由良宜子、奥村公延、芹明香、内藤剛志、伊藤清美、石井聰互(友情出演)、長崎俊一(友情出演)、山本政志(友情出演)、他
1991年/日本/118分/DCP/1:1.33/カラー
配給・宣伝:アップリンク