ヴィム・ヴェンダース監督(左)、ハリー・ディーン・スタントン(右)
5月19日までフランスのカンヌで開催されている「第71回カンヌ国際映画祭」で、ローマ教皇フランシスコを描くドキュメンタリー映画『Pope Francis: A Man of His Word』が特別上映されるヴィム・ヴェンダース監督が、昨年亡くなった俳優のハリー・ディーン・スタントンについての思い出を語った。
USA TODAYの5月13日の記事によると、ヴェンダース監督はスタントンが主演を務め、1984年の第37回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『パリ、テキサス』出品当時の様子を次のように述べている。
「『パリ、テキサス』がカンヌで上映されることを知って、ハリーはとてもナーヴァスになっていて、映画祭に出たがらなかった。共演のナスターシャ・キンスキーのことを『こんな美しい女性が俺のことを好きな役だなんて、誰も信じないだろう』と言って、疑心暗鬼になっていたんだ。でも私はぜったい来るべきだと、彼の気持ちをなだめるために、『出席するのを手伝ってくれる人を探すべきだ』と言った」
映画『パリ・テキサス』より © 1984 REVERSE ANGLE LIBRARY GMBH, ARGOS FILMS S.A. and CHRIS SIEVERNICH, PRO-JECT FILMPRODUKTION IM FILMVERLAG DER AUTOREN GMBH & CO. KG
「映画祭の当日、ハリーはひとりの若者をアシスタントに連れてきた。彼はハリーにずっと付き添って、ハリーのことをとても落ち着かせてくれていた。その俳優こそ、若きショーン・ペンだったんだ」
またヴェンダース監督は、現在日本で公開中のスタントンの最後の主演作『ラッキー』についても絶賛。
「『ラッキー』は幾度も観て、あまりに好きなので、ドイツでも上映されるように紹介した。私はハリーを愛していた。彼に勝る俳優はいないよ」と、スタントンの愛情をあらためて明らかにしている。
ナスターシャ・キンスキーも5月9日、当時のヴェンダース監督とスタントンと一緒に写った写真を自身のインスタグラムにアップしている。
映画『ラッキー』より
映画『ラッキー』
アップリンク渋谷ほか全国順次公開中
神など信じずに生きてきた90歳のラッキーは、今日もひとりで住むアパートで目を覚まし、コーヒーを飲みタバコをふかす。いつものバーでブラッディ・マリアを飲み、馴染み客たちと過ごす。そんな毎日の中でふと、人生の終わりが近づいていることを思い知らされた彼は、「死」について考え始める。子供の頃怖かった暗闇、去っていった100歳の亀、“エサ”として売られるコオロギ――小さな町の、風変わりな人々との会話の中で、ラッキーは「それ」を悟っていく。
監督:ジョン・キャロル・リンチ(『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』出演)
出演:ハリー・ディーン・スタントン(『パリ、テキサス』『レポマン』『ツイン・ピークス The Return』)、デヴィッド・リンチ(『インランド・エンパイア』『ツイン・ピークス』監督)、ロン・リビングストン(『セックス・アンド・ザ・シティ』)、エド・ベグリー・ジュニア、トム・スケリット、べス・グラント、ジェイムズ・ダレン、バリー・シャバカ・ヘンリー
配給・宣伝:アップリンク
2017年/アメリカ/88分/英語/1:2.35/5.1ch/DCP