TOPICS

cinema

東京都 渋谷区

2018-02-15 08:55


D.リンチの過去映像にびっくり 滝本誠x高橋ヨシキ

D.リンチの過去映像にびっくり 滝本誠x高橋ヨシキ
映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』トークイベントに登壇した滝本誠氏(左)と高橋ヨシキ氏(右)

デヴィッド・リンチの創作に迫るドキュメンタリー映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』のの公開記念トークイベントが2月9日(金)アップリンク渋谷にて行なわれ、ゲストに映画・美術評論家の滝本誠氏とデザイナーであり、ライターの高橋ヨシキ氏が登壇。リンチのアート・ライフについて熱く語った。

リンチを知り尽くしている両者でも「これだけ過去の映像が残っているのにはびっくりした」と口を揃える。

映画の感想を高橋氏は、「この映画で描かれているリンチの<アート・ライフ>は、実際はそうであるんだけど、リンチ的にみせたいところが詰まった映画だと感じました。<アート・ライフ>なのか<ライフ>なのかっていう問題もあるんだけど、“こういう風にありたい”っていうことが全面に出ているように観ていて感じました」とコメント。

my thoughts are all mixed up
映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』より、リンチ監督によるアート作品『my thoughts are all mixed up』

一方、滝本氏は「自分の過去を自分の言葉で語っていくというのは、うれしいぐらいに物語を作っていけるから、この映画はリンチを主題としたフィクションの誕生といってもいいかもしれない。現在製作しているアート作品たちを証拠的なものとして挿入し、ディレクションをしている。これらのアート作品によってリンチの過去が魅力的に改変され、再構成されていっているように思います」と説明。

two friends
映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』より、リンチ監督によるアート作品『two friends』

劇中の中でリンチが"助成金が取れてよかった。これで映画がつくれるようになる”と語るシーンについて高橋氏は、「このシーンを観てリンチは”映画”があってどんだけ幸せなんだろうと考えました。彼はロバート・ヘンライ著の『アート・スピリット』を手にして、その本が指し示すアーティストになろうと強い方向性でいたら、僕らがこうして今リンチの話をしていることは永遠にありえなかったし、個人で作っている映画よりも人を巻き込んでやっている映画が、ものすごい成功を収めているのもすごいですよね」と指摘する。

またリンチのアート作品について高橋氏は「リンチの絵って、人がいて、物があり、セリフがあって、これってまるで映画のシーンじゃないのかなと観ていて思う」と話すと、滝本氏も同調し「リンチの面白いところは、目の前にあるものすべてをアートに変えることだと思います」と締めくくった。




デヴィッド・リンチ:アートライフ_ポスター

映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』
新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開中

映像作品のみならず、絵画、写真、音楽など様々な方法で表現活動を続けているデヴィッド・リンチが、美術を専攻した学生時代の「退屈」と「憂鬱」、悪夢のような街フィラデルフィアでの暮らし、そして長編デビュー作『イレイザーヘッド』に至るまで自ら語ったドキュメンタリー映画。
アメリカの小さな田舎町で家族と過ごした幼少期、アーティストとしての人生に憧れながらも溢れ出る創造性を持て余した学生時代の退屈と憂鬱。後の『マルホランド・ドライブ』(2001年)美術監督である親友ジャック・フィスクとの友情。生活の為に働きながら、助成金の知らせを待った日々。そして、当時の妻ペギーの出産を経てつくられた長編デビュー作『イレイザーヘッド』(1976年)に至るまでを奇才デヴィッド・リンチ自らが語りつくす。

監督:ジョン・グエン、リック・バーンズ、オリヴィア・ネールガード=ホルム(『ヴィクトリア』脚本)
出演:デヴィッド・リンチ
配給・宣伝:アップリンク
2016年/アメリカ・デンマーク/88分/英語/DCP/1.85:1
原題:David Lynch: The Art Life
©Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016

公式サイト

▼映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』予告編

レビュー(0)


コメント(0)