昨日7月1日映画美学校で「シネマ・シンジケート」という全国のミニシアター劇場50館ほどが連動して年間4〜6本ほど映画を上映する構想が発表されました。その第一弾は『コドモのコドモ』(荻生田宏治監督)。
ようするに地方のミニシアターが集まり、生き残るために東京のミニシアターで公開された作品を地方でブロックブッキングを行って行くということらしいです。
地方の映画館はシネコンとの競合によりヒットした作品はシネコンにとられると言う状況にみんなで集まって対抗しようということで作品を募集するという。
僕は、配給会社としてその発表の場にいて「このシステムは、いい映画を映画館が選んで上映して観客に観てもらおうという上映運動なのか、それともビジネスなのか、例えば、昨年ユーロスペースで上映しヒットしユーロで2000万円の興収をあげたユーロが今の場所に移ってからカウリスマキの『街の明り』につぐ2位の成績をあげた『ミリキタニの猫』などの規模の作品はこのシステムを使えるのか」と聞きました。
ユーロスペースの創設者であり金沢シネモンドの代表の堀越さんは明確に「ユーロや、アップリンクの作品はこのシステムで取り上げている事は考えていません」、そして大分のシネマ5の代表の田井さんは「『コドモのコドモ』の東京以外の興収は5000万円を目指します」と答えてくれました。ということは、東京では少なくとも5000万円から1億円の興収がある作品を考えているらしいです。それはそれで、なんの問題もないのですが、そこで朝日新聞です。
見出しが「いい映画、地方にも、ミニシアターが上映網」という見出しで、記事の書き出しが「地方でも良質な映画を」文中で田井さんのコメントとして「シネコンの普及などでヒットした作品はどこでも見られるようになったが、地方では映画館が上映したい良質な作品は全く見られない」と書かれています。
発表の場にいたものとして「東京での興収5000万円以上の映画>良い映画」をブッキングしていくと理解したのですが、どうして「いい映画、地方にも」となるのでしょうか。
朝日新聞の記者が美談が好きなのか、朝日新聞が美談が好きなのか。ミニシアター=良い映画を上映、シネコン=娯楽作を上映と、絵に描いたような図式であてはめています。
と、まあ、本当に取るに足らない小さな記事のことでしたが、同じ発表の場にいたものとして、意図を正確に捉えずに思い込みのストーリーに当てはめて書かれた記事には驚いたのでトピックで取り上げました。