映画『サーミの血』主演のレーネ=セシリア・スパルロク © 2016 NORDISK FILM PRODUCTION
2016年の東京国際映画祭で審査委員特別賞と最優秀女優賞をW受賞した映画『サーミの血』が、2017年9月16日(土)より、新宿武蔵野館、アップリンク渋谷ほかにて全国順次公開する。
北欧スウェーデンの美しい自然を舞台に描かれるサーミ人の少女の成長物語であり、差別に抗い生き抜く姿に心打たれる感動作である。北欧最大の映画祭のヨーテボリ国際映画祭2017では、前年度『ヒトラーの忘れもの』が受賞した最優秀ノルディック映画賞を獲得。その他、世界の映画祭でも絶賛の声が相次いでいる。
昨年の東京国際映画祭で審査委員長を務めたジャン=ジャック・ベネックス監督、東京国際映画祭のプログラミング・ディレクターである矢田部吉彦さん、ミュージシャンのカジヒデキさんも絶賛のコメントを寄せている。
主演のレーネ=セシリア・スパルロクがスクリーンに現れた瞬間から釘付けになった。ナチュラルでいて、長い演説よりも強烈に人種差別の愚かしさを思わせる。
──ジャン=ジャック・ベネックス(映画監督)
世間の偏った「常識」を受け入れるな。正しいと思えば行動しろ。こんな大切なことをひとりの少女が思い出させてくれる。ラップランドの厳格な自然と少女の小さな革命の物語は僕の心を揺さぶり、勇気が体を懸け巡った。滅多に得難い映画体験だ。
──矢田部吉彦(東京国際映画祭 プログラミング・ディレクター)
自分の血とは?ルーツに対する嫌悪と愛情に揺れ動きながら、暗い歴史の不当な差別に負けず、凛とした態度で好奇心旺盛に外の世界へ闘いを挑んでいく主人公エレ・マリャの姿に涙流しながら、大きな勇気と感動を貰いました!北欧の美しい大自然と、30年代のレトロ ・クラシックな都会の人々のコントラストも魅力的な作品!
──カジヒデキ(ミュージシャン)
サーミ人とは、ラップランド地方、いわゆるノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北部とロシアのコラ半島でトナカイを飼い暮らし、フィンランド語に近い独自の言語を持つ先住民族。映画の主な舞台となる1930年代、スウェーデンのサーミ人は分離政策の対象になり、他の人種より劣った民族として差別された。
映画『サーミの血』 © 2016 NORDISK FILM PRODUCTION
監督のアマンダ・シェーネルはサーミ人の血を引いており、自身のルーツをテーマにした短編映画を撮った後、長編映画デビュー作となる本作でも同じテーマを扱った。また、主演のレーネ=セシリア・スパルロクは、今もノルウェーでトナカイを飼い暮らしているサーミ人である。その演技を超えた佇まいは高く評価され東京国際映画祭では主演女優を受賞している。劇中の民族衣装、小道具、トナカイの扱いなどはすべて正確に再現されている。
シェーネル監督は、この作品について、「多くのサーミ人が何もかも捨てスウェーデン人になったが、私は彼らが本当の人生を送ることが出来たのだろうかと常々疑問に思っていました。この映画は、故郷を離れた者、留まった者への愛情を少女エレ・マリャ視点から描いた物語です」と語っている。
音楽を手掛けるのは、ラース・フォン・トリアー監督の『ニンフォマニアック』(2013)、『メランコリア』(2011)、ニコラス・ウィンディング・レフン監督『オンリー・ゴッド』(2013)などに携わったデンマークの作曲家クリスチャン・エイドネス・アナスン。
映画『サーミの血』
2017年9月16日(土)より、新宿武蔵野館、アップリンク渋谷ほか全国順次公開
1930年代、スウェーデン北部のラップランドで暮らす先住民族、サーミ人は差別的な扱いを受けていた。サーミ語を禁じられた寄宿学校に通う少女エレ・マリャは成績も良く進学を望んだが、教師は「あなたたちの脳は文明に適応できない」と告げる。そんなある日、エレはスウェーデン人のふりをして忍び込んだ夏祭りで都会的な少年ニクラスと出会い恋に落ちる。トナカイを飼いテントで暮らす生活から何とか抜け出したいと思っていたエレは、彼を頼って街に出た――。
監督・脚本:アマンダ・シェーネル
音楽:クリスチャン・エイドネス・アナスン
出演:レーネ=セシリア・スパルロク、ミーア=エリーカ・スパルロク、マイ=ドリス・リンピ、ユリウス・フレイシャンデル、オッレ・サッリ、ハンナ・アルストロム
後援:スウェーデン大使館、ノルウェー王国大使館
配給・宣伝:アップリンク
(2016年/スウェーデン、ノルウェー、デンマーク/108分/南サーミ語、スウェーデン語/原題:Sameblod/DCP/シネマスコ―プ)
© 2016 NORDISK FILM PRODUCTION