映画『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』初日イベントより、チュス・グティエレス監督(左)、フラメンコ舞踊家の高橋英子氏(右)
先人たちの力強い歌と踊りによって紡ぎ出される人生の味わい深さが、フラメンコ版『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』とも形容される、フラメンコのルーツを辿るドキュメンタリー『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』の公開初日舞台挨拶が18日、有楽町スバル座で行われ、来日中のチュス・グティエレス監督が登壇。日本の観客に向けて熱いメッセージを送った。
最初、制作のきっかけを監督は「『サクロモンテの丘』は、当時は確かに存在したが現在ではすでになくなってしまった共同体とそこに住んでいた人々の物語です。この映画では、わたしは年配の方にたくさん会いましたが、それは彼らが水害で失われる以前のサクロモンテで過ごした人々だからです。わたしは彼らの記憶をおさめることで、かつてあったサクロモンテを再現したかったのです」と語る。
また、実際に取材を行った印象を訊かれると「彼らの生活は非常に苦しく貧しかったにも関わらず、つねに彼らはサクロモンテの丘で過ごした時代をとても幸せそうに語ってくれたことです。インタビューを通じて、彼らの生活に密着したフラメンコが彼ら自身の喜びや幸せの一つになっていることを強く実感しました」と目を輝かせた。
最後は観客へ向けて「日本の皆さんにサクロモンテの人々の記憶を観ていただくことができて嬉しく思います。そして、サクロモンテというとても小さな小さな共同体を巡る感情を日本の皆さんが共有してくださって、まるで宝物をもらったような気持ちです。ビバ、東京のみなさん!」と日本での公開に対する思いを喜びに満ちた様子で語った。
映画『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』初日イベントより、フラメンコ舞踊家の高橋英子氏、カンタオーラの川島桂子氏、ギタリストの渕崎昭彦氏によるパフォーマンス
その後、グラナダで長年舞踊経験を積み、現在もサクロモンテと日本を行き来しているフラメンコ舞踊家の高橋英子氏をはじめ、カンタオーラの川島桂子氏、ギタリストの渕崎昭彦氏ら3名による白熱のライブパフォーマンスが客席を大興奮の渦に巻き込み、監督も声を上げて拍手喝采。会場の熱気も冷めやらぬ中、初日舞台挨拶は大盛況のうちに幕を閉じた。
映画『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』
有楽町スバル座、アップリンク渋谷ほか全国順次公開中
監督:チュス・グティエレス
参加アーティスト:クーロ・アルバイシン、ラ・モナ、ライムンド・エレディア、ラ・ポロナ、マノレーテ、ペペ・アビチュエラ、マリキージャ、クキ、ハイメ・エル・パロン、フアン・アンドレス・マジャ、チョンチ・エレディア他多数
日本語字幕:林かんな
字幕監修:小松原庸子
現地取材協力:高橋英子
原題:Sacromonte: los sabios de la tribu
2014年/スペイン語/94分/カラー/ドキュメンタリー/16:9/ステレオ
提供:アップリンク、ピカフィルム
配給:アップリンク
宣伝:アップリンク、ピカフィルム
後援:スペイン大使館、セルバンテス文化センター東京、一般社団法人日本フラメンコ協会