映画『Krisha』(原題)より
『ピンク・フラミンゴ』(1972年)『クライ・ベイビー』(1990年)などで知られるジョン・ウォーターズ監督が選ぶ2016年の映画ベスト10が、米「ARTFORUM」誌12月号で発表された。
毎年恒例となっているこのランキング、今年の1位となったのは、トレイ・エドワード・シュルツ監督の『Krisha』(原題)。感謝祭を家族と祝うために10年ぶりに帰郷したアルコール中毒の老女をめぐるドラマで、主演を務めるクリシャ・フェアチャイルドの怪演が、カンヌ国際映画祭やSXSWなど世界の映画祭を沸かせている。ウォーターズ監督は「アルコール中毒の親類とあまりに多くの犬によってめちゃめちゃにされる、離散した家族の笑えるほど悲惨な再会のポートレートは熱情と狂気を伝える。監督の実の叔母、クリシャ・フェアチャイルドの最高の演技も見どころ。他人の地獄は、最高の楽しみなのだ」とコメントしている。
2位はドキュメンタリー『くすぐり』(原題:Tickled)。ニュージーランドの情報番組のレポーターで今作の共同監督デイヴィッド・ファリアは、くすぐりに耐える行為が競技として撮られた動画をネットで発見。番組で取り上げようと取材の申込をしたことをきっかけに、若い青年を陥れる悪徳事業の存在が明らかになっていく。ウォーターズ監督は「あなたはこの調査を観て最初はほくそ笑むだろうが、その後、ある衝撃的な展開により、その笑いを止められる」と解説している。本作は現在、Netflixで配信されている。
そして3位には現在日本でも公開中の『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』。「ここ20年でもっとも才能がありセクシーなキャストの共演による、著名なヘテロセクシャルの映画監督が手がけた最高の“偶発的ゲイ映画”」とウォーターズ監督は独自の解釈を展開している。
その他にも、トッド・ソロンズ監督『トッド・ソロンズの子犬物語』、ポール・ヴァーホーヴェン監督『Elle』(原題)、ペドロ・アルモドバル監督『ジュリエッタ』などが選ばれている。トップ10のランキングは以下の通り。
【ジョン・ウォーターズ監督が選ぶ2016年映画ベスト10】
1位『Krisha』(原題)
トレイ・エドワード・シュルツ監督
※日本未公開
2位『くすぐり』
デイヴィッド・ファリア&ディラン・リーヴ監督
※Netflixにて配信中
3位『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』
リチャード・リンクレイター監督
※2016年11月5日 日本公開
4位『ロアーズ』
ノエル・マーシャル監督
※1982年 日本公開(アメリカでは2015年に初公開)
5位『トッド・ソロンズの子犬物語』
トッド・ソロンズ監督
※2017年1月14日 日本公開
6位『Elle』(原題)
ポール・ヴァーホーヴェン監督
※日本未公開
7位『ジュリエッタ』
ペドロ・アルモドバル監督
※2016年11月5日 日本公開
8位『Like Cattle Towards Glow』(原題)
デニス・クーパー&ザック・ファーレイ監督
※日本未公開
9位『愛と死の谷』
ギヨーム・ニクルー監督
※2016年6月 フランス映画祭2016にて上映
10位『A Quiet Passion』(原題)
テレンス・デイヴィス監督
※日本未公開
【ARTFORUM】
FILM: BEST OF 2016 John Waters