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2016-06-03 18:50


パリ市長が英断、難民の仮設住宅の公設を決定

パリ市長が英断、難民の仮設住宅の公設を決定
6月1日付けのル・モンド紙より。パリ市内の公園に難民たちが一時しのぎのために作ったキャンプ。

今週火曜日(5月31日)、パリのアンヌ・イダルゴ市長は緊急会見を開き、難民のための仮設住宅をパリ市北部に4~6週間のうちに建設すると発表した。

イダルゴ市長は、「これ以上、地中海が難民の方々の墓場になることを、パリ市は黙って見ているわけにはいきません」と述べ、フランス政府ひいては欧州全体が難民危機の対処に失敗していることを非難した。


▼5月31日に開かれたイダルゴ市長の会見の様子 ©Public Sénat


この会見の前日に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、5月25日~27日に地中海で相次いだ難民を乗せた漁船の転覆事故により、3日間で1,000人近い死者が出たと発表していた。

フランスには2015年以降、特にスーダン、エリトリア、アフガニスタンからの難民が急増し、今年1月には北部の町カレーで6,000以上の難民がいた不法キャンプを、警察が催眠弾などを使い撤去した事件が報道された。

パリ市でも今年に入ってから鉄道の高架下や公園にできた数百人の難民が集まる不法キャンプを、警察が一掃しようとする事態となっていた。

1959年生まれのイダルゴ市長は、2歳の時にフランコ独裁政権下のスペインから一家でフランスに移住し、14歳で仏国籍を取得した。左派与党・社会党に所属し、2014年にパリ初の女性市長に就任。昨年11月のパリ同時多発テロの際には不眠不休で陣頭指揮し、今年2月には急減した日本人観光客を呼び戻すPRのために訪日した。

会見でイダルゴ市長は、「難民の尊厳を損なうことなく歓迎するための充分な手段が、国からは提供されていないため、パリ市は自ら対策を講じていきます。NGO団体と協力して国連基準に沿った人道的な仮設住宅を作ります」と語った。

アンヌ・イダルゴ市長の公式ツイッターより5月31日付のツイート。「仮設住宅は柔軟かつ速やかに設置される予定です。#難民歓迎」と書かれている。

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