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東京都 新宿区

2016-04-16 17:30


「オマールの壁」主役、スパイダーマン役に意欲!?

「オマールの壁」主役、スパイダーマン役に意欲!?
映画『オマールの壁』初日舞台挨拶に登壇した主演のアダム・バクリ

パレスチナの今を生き抜く若者たちの日々をサスペンスフルに描き、第86回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた映画『オマールの壁』が、4月16日(土)よりロードショー。公開初日となる本日、主演のアダム・バクリが上映中の角川シネマ新宿の舞台挨拶に登壇した。

坊主頭でパレスチナのパン職人を演じた劇中のイメージから一転、長めのカールした髪をまとめたヘアスタイルで登場したアダム・バクリは、聞き手のアラブ文学者の岡真理さんから「観客のオマールのイメージを壊したくない、と帽子を被っていたんですが、今のカールした素敵なヘアーのアダムさんをみなさんにみてもらいたいと思って」と紹介されると「撮影から3年経っているから」と笑い、満員の角川シネマ新宿のステージ上に感謝の言葉を述べた。

映画『オマールの壁』
映画『オマールの壁』初日舞台挨拶より、アダム・バクリ(右)と岡真理さん(左)

現在27歳のバクリは初主演作となるこの映画への参加について「この作品は僕を変えた。出演できた経験はこれからも残ると思う。今は観客としてこの作品を観ることができる」と感慨深げに回想。「初めてスクリーンで作品を観たときは緊張していて、自分の演技しかみていなかったけれど、とてもエモーショナルな体験だった。2回目にカンヌ国際映画祭で観たときも客席で父(俳優のムハンマド・バクリ)と兄が見ていたので、震えていた。感想は直接聞かなかったけれど、観終わった後の彼らの感動した目を見て、合格点をもらえたと確信した」と述懐した。

イスラエル出身のパレスチナ人で、現在はニューヨークを拠点に活動するバクリは、占領下のパレスチナの市井の人々の暮らしを描く今作の役作りの難しさについて「大きな責任を感じた。主人公のオマールが経験したことを忠実に表現することが大切で、自分が経験しているように表現することが大事だと思った。この映画自体が、そしてこの壁自体が占領下のパレスチナにおける暴力を象徴している」と撮影時の心情を吐露。パレスチナを分断する分離壁を前にしての撮影についても、「それまでも壁は遠くから見たことがあったけれど、映画を撮影したときにはじめて近くでみて、パレスチナの葛藤を象徴しているようで心を揺さぶられた。太陽が隠れてしまうほどの大きさに圧倒された」と強烈なインスピレーションを受けたことを明かした。

映画『オマールの壁』より
映画『オマールの壁』より

人間ドラマ、ラブストーリー、アクションと様々な要素が融合したエンターテイメント作品となっている要因として、分離壁を乗り越えたり、追手から逃れようと街中を駆けるシーンなどバクリのアクション・シーンについて岡さんが絶賛すると、「次は『スパイダーマン』とか『スーパーマン』いいですね(笑)」とアクション俳優への意欲ものぞかせ、「いろんな役に挑戦してみたいのでオープンですよ。今回もトレーナーと一緒にトレーニングしましたが、それでも危険なシーンはプロデューサーはやらせてもらえなかった。壁を登るシーンも準備していたけれど、途中までしかのぼれず、あとはスタントに任せなければいけなかった。あれはサーカスの団員しかできないですね」と答えた。

そして厳しい撮影をともにしたアブ・アサド監督についてバクリは「エンターテイメントとアートの双方があるのが監督の素晴らしいところ。より多くの観客に観てもらうために映画には両方の要素が必要だと思う。この『オマールの壁』は、パレスチナでは9歳や10歳の子供も知っているくらい知られている作品。そんなことは他の作品ではありえません」と賞賛を寄せた。

映画『オマールの壁』
映画『オマールの壁』より

岡さんの「占領の暴力を象徴的に描いている。何度も繰り返し観ると、監督が込めた意味が見えてくる。占領下をしらない私たちもその痛みを知ることができた」という分析にも、「アブ・アサド監督の細やかなメッセージがあちこちにちりばめられていて、観れば観るほど微妙なニュアンスがみてとれる作品だと思う」と同意。そして「ラストシーンの意味など、観客の解釈にまかせるところが素晴らしいところだと思う」と、観た人それぞれがそれぞれの物語を膨らませられるところが今作の魅力だと強調した。

バクリはトークイベントの最後に「日本の方々とパレスチナの人々は親切で暖かくて寛容、という共通点がある」と目を輝かせた。




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映画『オマールの壁』
角川シネマ新宿、渋谷アップリンクほかにて公開中、全国順次公開

映画『オマールの壁』
映画『オマールの壁』より

思慮深く真面目なパン職人のオマールは、監視塔からの銃弾を避けながら分離壁をよじのぼっては、壁の向こう側に住む恋人ナディアのもとに通っていた。長く占領状態が続くパレスチナでは、人権も自由もない。オマールはこんな毎日を変えようと仲間と共に立ち上がったが、イスラエル兵殺害容疑で捕えられてしまう。イスラエルの秘密警察より拷問を受け、一生囚われの身になるか仲間を裏切ってスパイになるかの選択を迫られるが……。

監督・脚本・製作:ハニ・アブ・アサド(『パラダイス・ナウ』)
出演:アダム・バクリ、ワリード・ズエイター、リーム・リューバニ ほか
2013年/パレスチナ/97分/アラビア語・ヘブライ語/カラー
原題:OMAR
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト

【渋谷アップリンク『オマールの壁』公開記念アフタートーク付き上映】

■「パレスチナの若者に何が起きているのか」
2016年4月21日(木)19:30の回 上映終了後
ゲスト:塩塚祐太(在ラマッラー対パレスチナ日本政府代表事務所・元草の根無償資金調整員)

■「内通者を生むパレスチナ/イスラエルの政治背景」
2016年4月22日(金)19:30の回上映終了後
ゲスト:錦田愛子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授)

■「パレスチナ問題の基礎」
2016年4月27日(水)19:30の回上映終了後
ゲスト:並木麻衣(JVCパレスチナ事業担当)

詳細は下記より
http://www.uplink.co.jp/event/2016/43893




渋谷アップリンク『オマールの壁』
ハーブで楽しむアラブのパン付き上映

映画『オマールの壁』より
映画『オマールの壁』より、パン職人のオマール
映画『オマールの壁』より
映画『オマールの壁』より、オマールが焼くアラブのピタパン「ホブズ」

日時:2016年5月1日(日)
開場18:30 レクチャー19:00~19:15 上映開始19:15
ナビゲーター:草野サトル(中東Kitchen&Bar MishMishオーナー/アラブ・中東フェスティバル主催)
料金:一律1,800円

〈食事メニュー〉
・アラブのピタパン「ホブズ」
・パレスチナのオリーブオイル
・パレスチナのスパイス「ザアタル」
・セージのお茶「マラミーヤ」

詳細は下記より
http://www.uplink.co.jp/event/2016/43888




渋谷アップリンク併設のカフェレストランTabelaにて
映画『オマールの壁』公開記念メニュー
4月16日(土)より提供開始

Tabelaアラブのデザートプレート

アラブのデザートプレート~バスブーサとマラミーヤ(税込700円)
ケーキ「バスブーサ」は、セモリナ粉を使ったアラブの伝統的なお菓子。甘い生地にレモンが爽やかに香ります。セージのお茶は「マラミーヤ」と呼ばれ、アラビア語で“聖母マリアの草”を意味します。

カフェレストランTabela
東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1階
TEL 03-6825-5501
http://www.uplink.co.jp/tabela/


▼映画『オマールの壁』予告編





「世界を変える、社会を変える、映画特集」
4月16日(土)より渋谷アップリンクにて開催

http://www.uplink.co.jp/omar/special.php

『世界を変える 社会を変える 映画特集』ポスター

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