映画『Fatima』より
2月26日、フランス・パリで第41回セザール賞の授賞式が行われ、モロッコ出身のフィリップ・フォコン監督作品『Fatima』が作品賞、脚色賞、有望若手女優賞の3冠に輝いた。
『Fatima』は、ふたりのティーンエイジャーの娘を育てながら働くアルジェリアからの移民の家政婦ファティマを主人公にしたドラマ。フランス語が苦手で、反抗期の娘たちにアラビア語でコミュニケーションをとろうとするファティマの日常が綴られる。ファティマ役を演技未経験のソリア・ゼルーアルが演じ、娘のナスリン役のジタ・ハンロが有望若手女優賞を受賞。9部門にノミネートされた『ディーパンの闘い』を押しのけて作品賞受賞となった。
▼『Fatima』予告編
そのほか、2月27日より日本でも公開となった『偉大なるマルグリット』は、音痴なソプラノ歌手で男爵夫人マルグリットを演じたカトリーヌ・フロが主演女優賞に選ばれたほか、美術賞、衣裳、音響賞を受賞。デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督が厳格なしつけのもとで育った北トルコに住む5人の姉妹を描く『裸足の季節』が脚本賞、編集賞、音楽賞、第1回作品賞を受賞した。今作は第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされており、6月に日本公開が決定している。
▼『偉大なるマルグリット』予告編
▼『裸足の季節』海外版予告編
そしてドキュメンタリー賞には、女優のメラニー・ロランがパートナーのシリル・ディオンとともに監督した『Demain(Tomorrow)』が受賞。地球規模での生態系の破壊という問題について農業、エネルギー、経済、民主主義、教育といった分野の先駆者に取材を行ったドキュメンタリーで、パトリシオ・グスマン監督『真珠のボタン』、リティー・パニュ監督『消えた画 クメール・ルージュの真実』といったノミネート作品を抑えて受賞した。
▼『Demain(Tomorrow)』予告編
また監督賞には『あの頃エッフェル塔の下で』のアルノー・デプレシャン監督、外国語映画賞はアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』となった。
▼『あの頃エッフェル塔の下で』予告編
▼『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』海外版予告編
■第71回セザール賞受賞結果
【主演女優賞】
カトリーヌ・フロ(『偉大なるマルグリット』)
【主演男優賞】
ヴァンサン・ランドン(『La loi du marché』)
【助演女優賞】
シセ・バベット・クヌッセン(『L’hermine』)
【助演男優賞】
ブノワ・マジメル(『La tête haute』)
【脚本賞】
デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン、アリス・ウィンクール(『裸足の季節』)
【脚色賞】
フィリップ・フォコン(『Fatima』)
【音楽賞】
ウォーレン・エリス(『裸足の季節』)
【音響賞】
フランソワ・ミュジー、ガブリエル・ハフナー(『偉大なるマルグリット』)
【撮影賞】
クリストフ・オーファンスタン(『Valley of Love』)
【編集賞】
マチルド・ヴァン・デ・ムールテル(『裸足の季節』)
【衣装賞】
ピエール=ジャン・ラロック(『偉大なるマルグリット』)
【セットデザイン賞】
マルタン・クレル(『偉大なるマルグリット』)
【監督賞】
アルノー・デプレシャン監督『あの頃エッフェル塔の下で』
【外国語映画賞】
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
【作品賞】
フィリップ・フォコン監督『Fatima』
【有望若手女優賞】
ジタ・ハンロ(『Fatima』)
【有望若手男優賞】
ロッド・パラド(『La tête haute』)
【短編賞】
セシル・デュクロック監督『La contre-allée』
【アニメーション賞】
マーク・オズボーン監督『リトルプリンス 星の王子さまと私』
短編アニメーション賞】
セリーヌ ・ドゥヴォー監督『日曜の昼食』
【ドキュメンタリー賞】
シリル・ディオン、メラニー・ロラン監督『Demain(Tomorrow)』
【第1回作品賞】
デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン『裸足の季節』
【セザール賞公式サイト】
PALMARES 2016 - 41 TH CESAR AWARD CEREMONY
http://www.academie-cinema.org/en/ceremony/awards.html