バンクシーの壁画は誰のもの？法的視点で検証

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東京都渋谷区

2016-02-08 19:15

▲バンクシーの公式サイトより、ロンドンのフランス大使館の向かいにある建物の壁に描かれた作品

イギリスのグラフィティ・アーティスト、バンクシーが建物の壁に描いた作品について、日本の法律の場合「誰のもの」に当たるか。エンターテイメントの分野での問題を専門とする高木啓成弁護士が、弁護士と法律のポータルサイト「弁護士ドットコム」で検証している。

バンクシーは1月24日、ロンドンのフランス大使館の向かいにある建物の壁に、『レ・ミゼラブル』の主人公コゼットの挿絵をモチーフに、催眠ガスにより目に涙を浮かべた少女とQRコードを描いた作品を発表。QRコードは、フランス北部の町カレーの難民キャンプで、警察が催眠弾などを使い襲撃する様子を記録したYouTubeの動画にリンクされており、イギリスとフランスの難民政策を批判した作品と評された。この作品は数日後、ビルの関係者により撤去されている。

高木弁護士は記事のなかで「『所有権』と『著作権』はわけて考えるべき」とし、ベニヤ板に描かれた今回の作品については、所有権はベニヤ板の持ち主にあり、著作権はバンクシー自身に帰属するため、ベニヤ板の持ち主は売却や展示はできるが、作品をコピーして販売することはできない、と解説している。

また高木弁護士は、日本の著作権法には屋外に恒常的に設置されている美術作品について著作権が大幅に制限される規定があり、一般の人の写真撮影やネット上へのアップは構わないが、複製したり販売することはできない、と指摘している。バンクシーの作品の場合についても、グラフィティを撮影することは問題ないが、それをポストカードにして販売したりすることはできない、ということになる。

【文化庁ホームページ】
公開の美術の著作物等の利用（著作権法第46条）
屋外に設置された美術の著作物又は建築の著作物は，方法を問わず利用できる（若干の例外あり［注］）。
［注］公開の美術の著作物等の利用の例外
（1）彫刻を彫刻として増製し，又はそれを公衆に譲渡すること。
（2）建築の著作物を建築として複製し，又はそれを公衆に譲渡すること。
（3）屋外に恒常的に設置するために複製すること。
（4）もっぱら販売目的で美術の著作物を複製し，又はそれを販売すること。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html

なお、バンクシーが2013年に1ヵ月にわたりニューヨークの路上でゲリラ的に行った展覧会の模様を追ったドキュメンタリー映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』は、3月26日（土）より渋谷シネクイント、4月2日（土）より渋谷アップリンクにて公開となる。

【弁護士ドットコム】
建物の壁に勝手に描かれた「バンクシー」の芸術作品・・・「誰のもの」になるのか？（2016/2/7）
https://www.bengo4.com/other/n_4260/

【FNN】
フランスの難民政策風刺するバンクシーの芸術作品、2日で撤去（2016/1/26）
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00314707.html

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バンクシーQRコード付新作で英仏の難民対応批判（2016/1/25）
http://www.webdice.jp/topics/detail/5005/

Banksyが仕掛けた"NY宝探し"追う映画日本公開（2016/1/20）
http://www.webdice.jp/topics/detail/4997/

映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』
3月26日（土）渋谷シネクイント、4月2日（土）渋谷アップリンクほか全国順次公開