[バンクシーが仏カレーの難民キャンプで発表したスティーブ・ジョブズの画(左)、現在は難民によりブランケットで覆われている(右) via INDEPENDENT]
イギリスのアーティスト、バンクシーがフランス北部カレーの難民キャンプでアップルの共同創業者、故スティーブ・ジョブズを描いた壁画を発表し、12月12日、公式サイトでも公開。その後、作品を観に訪れるファンや取材陣へ向けて、難民たちが作品をブランケットで覆い、5ユーロ(約658円)の閲覧料を要求していると報道されている。
バンクシーは今年、8月22日から5週間限定で“悪夢のようなテーマパーク”「ディズマランド」を英ノース・サマセットのウェストン・スーパー・メアにオープン。終了後は公約通り、園内の物資は廃棄せず、シリアやアフガニスタンなどから来た7,000人以上が滞在する「ジャングル」と呼ばれるカレーの難民キャンプに送られ、難民たちのために住居として活用されることになった。
今回難民キャンプ内で発表された新作は、ジョブズがずだ袋を背負いマッキントッシュ・クラシックを抱えた画で、「シリア移民の息子」というキャプションがつけられている。ジョブズの実の父親、アブドゥルファター・ジョン・ジャンダリは1931年、シリアのホムス出身で、渡米後ジョアン・キャロル・シーブルと結婚しジョブズが生まれたが、ジョブズは養子に出された。
バンクシーは、「私たちはしばしば、移民が国にとって有益ではないと思わされている。しかし、スティーブ・ジョブズはシリアの移民の息子だ。アップルは世界で最も利益を生み出している企業で、1年に70億ドル(約8,479億円)の税金を払っている。それは、ホムスからきた青年を受け入れたからに他ならない」と声明を発表している。
彼はこの他、フランスの版画家テオドール・ジェリコーが軍艦の沈没事故を描いた『メデューズ号の筏』をモチーフにした作品などもカレーの壁に描き、難民キャンプの様子とともに公式サイトで公開している。
[Banksy公式サイトより、カレーに描かれた『メデューズ号の筏』を模した作品。「私たちは運命共同体ではない」というキャプションがつけられている。 via Banksy Official Site]
Banksy公式サイト:http://banksy.co.uk/
【INDEPENDENT】
Calais migrants start charging visitors to see Banksy's Steve Jobs mural(2015.12.17)
http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/art/news/calais-migrants-start-charging-visitors-to-see-banksys-steve-jobs-mural-a6777081.html
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http://www.webdice.jp/dice/detail/4836/